大山鳴動して普通の輸送機たった2機
26日付太平洋空軍web記事が、4月にカーター国防長官が実施を宣言したフィリピンへの航空戦力ローテーション派遣の第3弾として、ただのC-130輸送機2機が南シナ海から遠い島に、25日展開したと報じています。
米フィリピン関係は、ドゥテルテ大統領の強権的な麻薬撲滅対策とオバマ大統領の人権外交姿勢によって険悪な状況に陥っており、6月以降途絶えていたローテーション派遣がどうなるか注目を集めていたところです
まぁ・・立ち消えにならなかっただけ良かったのかも知れませんが、4月の派遣発表時にはF-22の派遣をプンプン臭わす発言が高官から出ていた事もあり、第1弾A-10攻撃機、第2弾EA-18G電子戦攻撃機につづく派遣戦力が、普通の輸送機2機だけとは正直「拍子抜け」です。
26日付太平洋空軍web記事によれば
●25日、米軍横田基地所属の第374空輸航空団のC-130輸送機2機と空軍兵士約120名が、第3回目のローテーション航空派遣隊(rotational air contingent)としてフィリピン空軍の「Mactan-Benito Ebuen基地」(南部セブ島の空港:民間機の国際空港も同居)に展開した。
●約120名の中には、グアム島アンダーセン基地所属の第36緊急事態対処群のメンバーも含まれており、空輸訓練だけでなく、「Subject Matter Expert Exchanges」の位置づけの訓練もフィリピン空軍と行う計画になっている
●本派遣飛行隊は、米軍と比軍の相互運用性を高めることを目的としており、両国間の安全保障協力を更に発展させるためのものである
●なお約2週間の派遣隊第1弾には、A-10攻撃機とHH-60Gヘリ等が空軍兵士が4月16日から派遣され、第2弾には6月15日から4機のEA-18G電子戦攻撃機が海軍や海兵隊兵士と共に派遣されていた
///////////////////////////////////////////////
単に航空戦力を派遣するだけでなく、地上要員が航空機運用や特殊作戦の訓練も行っていますし、今回の「第36緊急事態対処群」は恐らく基地が空襲等で被害を受けた際の応急対処を行う部隊で、その様な能力をフィリピンにも伝授したいとの目的もありましょう
また、これまでクラーク空軍基地だけを使用していましたが、今回は南部セブ島に隣接する島の基地に展開しており、活用できる飛行場を拡大しようとの狙いも感じられます。
施設未整備な飛行場への第一歩としては、C-130が適任でしょうが・・・
しかし・・・A-10やEA-18Gと比べると・・・見劣りしますねぇ・・・しかも南シナ海から遠い島ですからねぇ・・・。
ドゥテルテ大統領の就任に伴う対フィリピン関係の変化と共に、対中国姿勢を巡るホワイトハウスと国防省間の意見の相違も大いに今回の派遣規模に影響しているものと推測します
中国との軍事的緊張を避けたい大統領府と、現場の危機感を訴える国防省との間の溝が、ますます深まっていると米軍事メディアが報じる今日この頃ですから・・・
米軍と比軍との協力関係
「比大統領が米との南シナ海作戦を拒否!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15-1
「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03
「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
「国防長官が交代派遣発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16
前比政権と米国との関係
「比軍基地への米軍アクセス拡大」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-24
「フィリピンへの軍事援助再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-24
「米海兵隊員に殺人容疑」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-16
「比が米軍受け入れ合意へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-10