F-35の原因不明火災と強制売込の脅威

F-35 Japan OUT.jpg空自の1番機ロールアウト式典日にA型原因不明火災
爆笑:ロッキードの世界配信写真は防衛副大臣と空幕長を取違え
左の写真に「杉山航空幕僚長が、生産ラインからロールアウトした航空自衛隊の1番機の前でスピーチを行う」との説明を付け、ロッキードが世界に配信(大笑い)
23日、航空自衛隊用F-35の1番機ロールアウト式典がテキサス州で開催され、若宮防衛副大臣と杉山空幕長などが日本から出席しました。
そんな戦闘機命派には「めでたい日」のはずの同じ23日、アイダホ州の米空軍基地で地上発信準備でエンジンを始動させたF-35Aが「aft:尾部」から突然火災を起こし、パイロットは脱出、整備員数名が病院に搬送される事故が発生しました。
幸いけが人はなかったようですが、2014年6月に同様の発進準備中に火災を起こしたF-35の「F135エンジン」に注目が集まっています。当時の火災原因は2014年10月に特定され、その後エンジンの設計変更や材質変更等の対策が進行中と認識していましたが、それとの関連も気になります。エンジンが23日の火災の原因かも不明確ですが・・・
そんなF-35ですが、デンマークがF-35購入を決定した機種選定に、FA-18で破れたボーイングが15日に正規に異議申し立てを行いました。時期も時期、20日には米国防省F-35計画室長が「まとめ買いすると単価が下がりますよ」と悪魔のささやきを・・・
まずは23日の地上火災について
F-35 Hill AFB2.jpg●23日の正午頃、Luke空軍基地からアイダホ州のMountain Home空軍基地に移動展開中の7機のF-35の中の1機で、離陸準備でエンジンを始動させたところ尾部から火災が発生し、パイロットが脱出した
●米空軍報道官によれば、火災はすぐに消し止められ、念のため手順に従って基地内病院に搬送された7名の整備員にもケガ等はなかった
7機のF-35は9月10日から24日の予定で、空対地攻撃訓練のために移動訓練を行っていたが、今回の火災の原因は調査中である
●エンジンを製造するPratt & Whitney社の報道官は、「火災が派生したことは承知しているが、現時点では細部を把握していない」「我が社は国防省や米空軍に調査協力を行う準備がある」と述べた
16日に15機のF-35A型機で発覚した、冷却システムの燃料タンク内の配管に絶縁が不十分な部分がある問題との関係も明らかになっていない。冷却システムの配管問題は担当企業の不手際で、来週対処要領が確認される予定
2014年6月のF-35エンジン火災
「火災メカニズム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-04
「当面の対処と設計変更」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29
「問題は軽易ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08
安くなるよ!まとめ買いしない?
Bogdan6.jpg●20日、米空軍協会総会で国防省F-35計画室長Bogdanは、予定されていた契約時期を過ぎても協議がまとまらないロッキード社とのF-35製造契約「Lots 9 と10」について、タフな交渉が続いておりまだまとまっていないと語った
機体単価の値下げを要求する国防省側に対し、ロッキード社が反発しており、交渉の難航が伝えられている
●また同中将は、「Lot 12, 13, and 14」で購入を予定している同盟国等に対し、まとめ買い契約(multi-year buy)をすることにより、計約450機の部品等をまとめて調達でき、控えめに見積もって約2000億円が節約できると述べ、参加を呼びかけた
●なお、デンマークは現時点でLot 12で購入する予定はないと同中将は語った
●(任期に関する記者からの質問に対し、)2012年から現ポストを勤めているが、終わりは見えない
ボーイングがデンマーク機種選定に意義申し立て
●15日、デンマーク次期戦闘機の機種選定(5月に機種決定)でロッキード社のF-35に破れたボーイング(FA-18提案)は、デンマークの比較評価が不公正だと「request for insight」をデンマーク政府に提出し、機種選定の評価データを提供するよう要求した
FA-18&F-35.jpg●ボーイングの担当幹部は、このような不公正が選定が認められれば、他国の機種選定に悪影響を及ぼしかねないと強く主張している
●デンマークはF-35を28機購入と38機のFA-18購入を比較した模様だが、F-35の単価が約90億円に対し、FA-18が125億円と評価段階で見積もられるなど、不自然な選定が外部専門家からも指摘されており、「ロシアの脅威を前にし、政治的圧力が働いた」とも指摘されている
●他にも、評価ではボーイングがFA-18の寿命を9500時間と見積もっているのに6000時間と抑えられ、F-35が8000時間とされているなど奇妙な点がある
●また、ボーイングは複座価格と単座価格を併記して選定に臨んだが、FA-18の単座価格は選定に使用されず、単座戦闘機のF-35と公平な比較がされておらず、不公平だと訴えている
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ロッキード社による写真の取り違えといい、式典当日の今回の火災といい、売り込みに必死な米国防省幹部の様子といい、デンマークの機種選定に見る米国圧力といい、何が何でも前進あるのみ、無理は承知でゴリゴリ売り込みの恐ろしさを感じます
槍ヶ岳と高山植物.jpgそんなどさくさの最中に、1番機を受け取らされた日本と自衛隊の将来に「幸あれ」と祈らずにおれません。だめでしょうけど・・・。
23日の火災は、事によるとF-35Aの長期飛行停止に繋がる可能性があります。少なくとも2014年6月の火災では、2ヶ月以上の飛行停止が必要でしたから・・・
エンジンでしょうか・・・だとすると深刻です!
2014年6月のF-35エンジン火災
「火災メカニズム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-04
「当面の対処と設計変更」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29
「問題は軽易ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08
別の国防省高官も・・・
「悪魔の誘い:まとめ買いしない?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-31
デンマークとF-35
「ボーイングが選定結果に反発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-16

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