フィリピン大統領が米との南シナ海作戦を拒否!?

Duterte2.jpg15日付読売新聞朝刊が7面に「米比共同哨戒 参加せず」との記事を掲載し、フィリピン大統領が13日の軍関係者に向けた演説で、今年4月に米国と合意していた南シナ海での軍による共同哨戒活動に参加しない方針を示したと報じています
具体的には、同大統領が共同哨戒活動不参加について我が国は敵対的な行動に巻き込まれたくない」と発言し、南シナ海問題で対立する中国へ配慮した可能性があると記事は説明しています。
また「より独立した外交政策を進める」とも言及し、中国やロシアからの武器購入も検討する考えを示したと紹介しています。
更に同大統領は12日にも、南部ミンダナオ島でテロ対策にあたる米軍の撤退を要求した模様で、強権的な麻薬取り締まりをオバマ大統領や国連から批判された事に反発し、外交・安全保障政策でも米国と距離を置きつつあり、アキノ前政権が進めた米比の軍事協力が停滞する可能性が出てきたとも同記事は言及しています
一方で同記事は最後に、「ただ比当局者らは米比同盟関係を維持したい考えで、ドゥテルテ氏の意向がどの程度反映されるか不透明だ」と結んでおり、外交分野に不慣れな同大統領の激情型ドゥテルテ氏の発言と、実際の外交関係の進展を見極める必要性を指摘しています
////////////////////////////////////////////////////////
フィリピンが揺れ動く状況が様々な形で報道等されており、「大統領意向がどの程度反映されるか不透明だ」と言われるとお手上げなのですが、まんぐーすの頭の整理も兼ねて、不安材料とそうでも無い材料を並べてみます
不安をかき立てる報道
Duterte4.jpg南シナ海問題の焦点となっているフィリピンに近いスプラトリー礁に関し、中国はフィリピンに共同開発に持ちかけ、更に比内部に社会インフラ建設提供を表明しており、比大統領が乗り気だとの報道あり
●この背景には、オバマ大統領が比大統領の麻薬対策への強権姿勢を「人権問題」として非難している事への反発心があると言われており、先日のAPECで両大統領の会談が比大統領発言でドタキャンになったこと等の因縁説も囁かれている
4月にカーター国防長官が訪比して発表した、比空軍クラーク基地への米軍航空アセット派遣が、4月のA-10等派遣と6月のEA-18G派遣だけに止まり、その後の動きが全くない
「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
「国防長官が交代派遣発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16
実務レベルでは大丈夫との報道
Duterte5.jpg8月末、フィリピン空軍副司令官ら8名が太平洋空軍司令部を訪問し、3日間に亘り両国空軍の協力強化や作戦運用に関して集中討議を行い、両国関係者が有意義だったと語っている
7日に米空軍長官は、同国と新たに結んだ軍事協力合意EDCAに基づき、航空アセット交代派遣の受け入れのため、比空軍「Basa Air Base」の「building up」をフィリピン側が行う事になったと明らかにした
「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03
共通して米国に思うこと
米国の人権優先外交はいい加減にして欲しい。タイとの関係悪化やミャンマーとの関係改善遅延など、中国が喜ぶような結果ばかりを生んでいる「人権命主義」は止めて欲しい
●ドゥテルテ大統領の強権政治は「開発独裁」の一つの形態段階とも考えられ、民衆の支持もアリ、効果も現段階ではありそうなのだから、いきなり米国が言いがかりを付けることに実利はない
Duterte3.jpg●もちろん、歴史上この種の強権政治が、腐敗や一族支配や誤った独裁に発展する事例は少なくないが、現時点で米国がとやかく言う必要があるのか? 対中国で米国が何ら具体的対処が出来ないなら、せめて友好国を増やす配慮を重視しろ。優先順位を見誤るな
●米国政府は他国の人権問題をとやかく言う前に、米国内の「強欲資本主義者=ヘッジファンド等」による他国への非人道的行為を何とかして欲しい
●他国の人権問題より、トランプのような人物が大統領候補になるような米国、銃による大量殺人が定期的に発生する米国をまず何とかして欲しい
米軍と比軍との協力関係
「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03
「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
「国防長官が交代派遣発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16
前政権と米国との関係
「比軍基地への米軍アクセス拡大」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-24
「フィリピンへの軍事援助再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-24
「米海兵隊員に殺人容疑」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-16
「駐比対テロ米軍部隊撤退へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-29-1
「比が米軍受け入れ合意へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-10

タイトルとURLをコピーしました