昭和の闇は、今に続くのか・・・
23~24日にかけ、NHK特集で「未解決事件File.05 ロッキード事件」が放映されました。
今再び脚光を浴び、関連書籍が次々と発売され人気を呼んでいる「田中角栄」元総理が、1976年に逮捕される事態に至る戦後最大の疑獄事件ですが、番組タイトル「未解決事件File」が示すように、解明された計7億円の賄賂以外に、21億円もの「児玉ルート」の金の流れが未解明なままだと訴える内容でした
特に番組後半は、田中元総理が逮捕された5億円の贈与が、全日空への旅客機トライスター導入を斡旋するものではなく、より巨額の対潜哨戒機P-3C導入に便宜を図るものではなかったか・・・との疑惑追及を目指したものでした(多少の新証言あり)
そして番組は、P-3C導入関連に日本の捜査がおよぶ事が同盟の根幹を揺るがしかねず、またその利益が莫大で、かつ対ソ軍事戦略上も米国が強く欲していたことから、トライスター関連の情報だけを米国が日本に流し、P-3C疑惑に目を向けさせない「陰の力」が働いたのでは・・・と示唆していました
番組として突っ込み不足だったのは、対潜哨戒機も早期警戒機も国産計画がありながら、工作資金でP-3CやE-2Cに方針転換したのではと疑惑を指摘しながら、性能面や防衛効果について国産機とロッキード製機体の比較が不十分だった点です。まぁ・・比較しても、番組の方向性は変わらなかったと思いますが・・・。
本日は、そんなNHKスペシャル放映のタイミングに合わせるように、現在のLockheed Martin社が、防空やBMD装備の売り込みに世界中を駆け回っている様子を紹介する記事が出たのでご紹介します。深い意味はありません・・・ただ、人間の本質はそう簡単に変化しません・・・
21日付Defense-News記事によれば
●Lockheed Martin社(LM社)は、国際市場で防空やBMD装備への関心が高まっていることを目の当たりにしており、ゆっくりと、しかし着実に購入する国が増加すると考えている
●近い将来にも、欧州や中東で、THAADやMEADS(Medium Extended Air Defense System)やPAC-3の契約成立を予期しているが、更に多くの顧客が現れる可能性を感じているようである
●LM社の「Missiles and Fire Control」部門の上級副社長Rick Edwards氏は、「これらの装備は防御用であるため、米国政府も良く輸出をサポートしてくれる。世界で最も需要が伸びている分野の一つだ」と英国航空ショー会場でのインタビューで12日に語ったくれた
●同社の製品と言えばF-35やLCS沿岸戦闘艦が良く話題になるが、防空&BMD、短中距離ミサイル、無人システム、目標照準ポッド等を担当する「Missiles and Fire Control」部門は、海外売り上げの5割を占める位置づけにある
●具体的には、28カ国で、30のプログラムを、年間3700億円規模で扱っているとEdwards氏は語った
諸外国への売り込み状況
●終末段階の高高度要撃を担うTHAADは、米国とUAEだけが現時点で導入国だが、カタールとサウジとも関連協議を行っている。両国とも2017~18年にかけ何らかの判断を行うと思われるとEdwards氏は語った
●更にTHAADに関しては、別に少なくとも5~6ヶ国が関心を示しており、LM社も売り込み活動を行っている。細部には言及しなかったが、同氏は「北朝鮮やイランが脅威であり、地図を広げればどの国が関連するか判るだろう」と述べた
●一方で、THAADシステムは高価で導入決断は大きな決断であり、どの国でも決定には時間が必要だと語った
●米独伊の共同開発であるMEADSに関しても、米国は当面購入しないと決定したが、多くの国と協議していると同氏は説明した。
●2015年にドイツは、レイセオン社のPAC-3と比較した結果としてMEADSを選択しており、年末までには契約を完了すると言われている。またポーランドは、一度PAC-3に決定したようだが、再びMEADSに関する情報収集や協議を行っており、2017年に最終決定する方向だと同氏は語った
●またトルコは、一時は中国製システムの導入を発表したが、後にキャンセルを発表し、今年2月にはMEADS導入を検討していると関係高官が発言している
●ポーランドやトルコは、自国企業のワークシェアを求めており、PAC-3MSEより安価な「secondary interceptor」の開発についてLM社と協議している
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THAADに関しては、日本も重要な交渉先なのでしょう・・・。
「ロッキード事件」を振り返るまでもなく、より政治的に強烈な売り込みがあるのかも知れません。RQ-4グローバルホークしかり、オスプレイしかりですから・・・
仮に米国からの強い働きかけがあったとしても、同じ米国から兵器を購入するのであれば、より国情にあった、日本の軍事環境にあった装備品を選択して欲しいものです。
簡単にF-35に手を伸ばすのではなく、日本の軍事環境や脅威の変化を踏まえた防衛構想を日本自らが打ち出して米国と議論し、必要ならシミュレーションや机上演習を行い、その上で少しでも納得して購入を決断して欲しいものです。「パブロフの犬」的に、何でも戦闘機ではなく・・・
なお「未解決事件File.05 ロッキード事件」は、BS放送で9月に再放送されるようです。
NHK特集関連の記事
「超能力スパイに迫る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-19
「古代ギリシャ文明誤解釈」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-03
「リーマン予想」に驚愕 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-16