「新フィンランド化?」米露対立最前線

Fin-Rus2.jpg各種報道が、1日にフィンランド南部で開催されたロシアとフィンランド首脳会談の様子を紹介し、中立的ながらロシアの影響下にあるフィンランドの、NATO加盟を巡る駆け引きを紹介しています。
プーチンらしい恫喝的な発言の側面と、反面で実質利益を狙う側面の2面性が垣間見られ、ロシアの台所事情が垣間見えるような気がします
両国は2013年に軍需産業協力強化の協議を開始しましたが、2014年2月のウクライナ介入で頓挫していました。
東欧でのロシア軍活発化で、フィンランドやスウェーデンもNATOとの演習や関係強化に動く中ですが、この軍需産業協力についてはまだフィンランドもロシアもやる気たっぷりな感じです
なんとも複雑な両国関係ですが、新しい形の「フィンランド化」が進みつつあるのかもしれませんのでご紹介します
まず1日プーチンは共同会見で(ロイター)
Finland.jpg●仮にフィンランドがNATOに加盟すれば、ロシアは軍隊をフィンランド国境近くに前進配備する。
フィンランド軍がNATO軍の一部として、一夜でロシア国境に進出可能となれば、ロシア軍を同国境から現在のように1500kmも離れた場所に置いておけるか?
●フィンランドがNATOに加盟すれば、NATO軍はフィンランド軍が全滅するまで、喜んでロシアと戦い続けるだろう
●フィンランド国民はそれを望むのか? ロシアは望まないが、それはフィンランドの選択だ。ロシアは決定を尊重する
8日付Defense-Newsによれば
2013年の協議開始後、ロシア国防相はフィンランドに対し、更なる両国軍需産業協力の分野を話し合う作業グループの設置を提案していた。しかしロシアのウクライナ介入後、フィンランドも支持したEUによる対ロシア制裁決定により、両国協議は中断した
Fin-Rus.jpg●フィンランド側は首脳会談で、両国軍需産業協力の強化協議を再開したいと要望した。
ロシア側はフィンランドが大規模な航空機、SAM、戦車や艦艇をロシアから購入することや、フィンランド軍需産業がロシア軍需産業の下請けに加わることなどを提案した。
●これは、フィンランドがNATOとの関係を強める中でも、ロシアのフィンランドに対する影響力を確保したいとの思いを含んだ提案で、ロシア国防相によってなされた
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フィンランドの産業構造や経済状態を知らないのですがNATOへ傾きつつ、米軍との共同訓練を活発化させつつ、同時にロシア軍需産業との関係強化を目指し、ロシア製兵器の購入に向かうフィンランドを理解するのは容易ではありません
独立国家でありながら、ソ連の言いなり国家の地位に甘んじることを「フィンランド化」と習ったような気がします。
しかし新しい「フィンランド化」は、米側と軍事同盟を結び、ロシア側と軍需産業の協力強化を図るという奇妙な体制を意味することになるのかもしれません
米露対立の最前線
「東欧4カ国にNATO大隊配備へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-17
「対露大演習でNATO大編隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-14
「米軍が北欧でも演習強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29
「ドイツ軍が1.8万人増強へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12
「欧州を主戦場にサイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「欧州に米陸軍装備の事前集積強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-10
「露軍は鉄の壁arc of steelを構築中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07

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