9日、バルト海周辺で3日~18日の間に行われているNATO軍演習「Baltops 2016」の一環として、参加各国空軍機による大編隊飛行が披露されました。
今年の「Baltops演習」は昨年よりも大規模になり、20カ国以上のNATO諸国から、49隻の艦艇や潜水艦、62機の航空機、米軍からは5千名の艦艇や地上要員の他、約700名の海兵や空挺隊員も参加しています。
同演習は、ウクライナや東欧で活動を活発化させるロシアを念頭に、フィンランドやスウェーデンを含むNATO諸国間の相互運用性をアピールするため行われています
大編隊の構成は
中央にでんとB-52、
左は独空軍のTyphoons2機とスウェーデンGripen4機
右はポーランド空軍2機のF-16と米空軍F-16が4機です
NATOがバルト3国等に4個大隊交代派遣へ
●13日、NATO国防相会議(14日)を前にした記者会見でNATOのJens Stoltenberg事務総長は、来る7月8-9日のNATO首脳会議に於いて、バルト3国とポーランドに陸軍4個大隊をローテーション派遣する事で合意することになると語った
●同事務総長は4個大隊の人員数について言及せず、あくまでローテーション派遣でロシアとの協定には反しないと強調しているが、以前関係者は2500名から3000名になるだろう語っていた
●NATOは活発化するロシア軍の活動を受け、数日の猶予で投入可能な約5000名の「Spearhead Force」を準備しており、また短期間の準備で動員可能な「NATOResponse Force」を約3倍の4万人規模にする計画を進めている
●更に欧州米陸軍は、装備品の事前集積強化も進めている
●NATO諸国はこれまで続いてきた国防費削減の流れを反転し、2015年はGDP比率で0.6%増加し、今年は1.5%レベルを目指している。NATO諸国はGDP2%の国防費を目標としている
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米国は、対ロシア体制強化のための「European Reassurance Initiative」予算の大幅増額(2016年度約3100億円から、2017年度4100億円へ)を要求しており、今年も欧州各地で演習を活発に行っています。
2月から3月にかけ、ノルウェーで約1.5万人規模の「Cold Response 2016」を周辺国とともに実施し、5月にはフィンランド陸軍演習「Arrow-16」に米軍は20両のストライカー装甲車等を派遣して着上陸訓練も行っています
「Baltops 2016演習」もその流れの一環で、基本的に海軍演習ですが、訓練に参加した空軍部隊も大アピールです。脇役の「空軍が美味しいとこ取り」的なアピールで内輪もめがありそうですが・・・
「4個大隊ローテーション派遣」は4個部隊でローテなのか、常に4個部隊が現地にいるのかよく分かりません。5月の時点でも、約800~1000名の大隊をポーランド及びバルト3国の各国それぞれに配備する案と、1個の大隊を同地域に置く「温度差ありすぎ」の2案が検討中となっていました
Stoltenberg事務総長の不明確な言いぶりからすると、「4個大隊準備して、1個大隊だけ現地に展開」の可能性が強い気がします
対ロシア関連の記事
「7月NATO首脳会議の論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-17
「ドイツ軍が1.8万人増強へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12
「米軍が北欧でも演習強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29
「欧州を主戦場にサイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「欧州に米陸軍装備の事前集積強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-10
「露軍は鉄の壁arc of steelを構築中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07
「黒海NATO演習と露軍反応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-03
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02