米国防省が「Force of the Future」追加策発表

FOF.jpg9日、カーター国防長官はペンタゴンで講演し、就任直後から優先的に取り組んでいた「Force of the Future」施策、つまり優秀な人材を確保育成して将来の国防省・米軍の人的基盤を強化しようとの施策の追加対策案を発表しました。
ただしこれはあくまでも国防省の案で有り、予算的措置や議会の了解や法律改正が必要な事項を多数含んでいます
これまでも同長官は本施策の方向性として、「国防省の人材優位性維持」や「家族も含む福利厚生の強化」を掲げ、民間との人材交流やそのための職員兵士への休暇制度から、危険業務に従事する兵士の精子や卵子の凍結保存補助金制度まで、多様な施策を打ち出してきていますが、それらに続く施策案です
Force of the Future関連の過去記事
「追加策:体外受精支援まで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-29
「全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「企業等との連携や魅力化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
そして今回は「40年近く前の制定の士官昇任制度の改革」や「優秀な文民職員の獲得と勤務意欲向上」を目指した施策案が打ち出されています
米議会からの反応は様々で、予算増につながる部分には懐疑的な声も多く聞かれ、来年1月の政権交代向けて流動的な側面ありありですが、「やれることはやっておきたい」とのカーター長官の強い思いで就任1週間後から推進している施策です。
少子化やマスゴミの偏向報道で人材確保が難しくなりつつある日本にも、参考になる部分もあろうかと思いますので、項目列挙でご紹介します
9日付米国防省web記事によれば
士官の昇任制度等に関する改革案
(38年前制定の士官人事管理法DOPMA等の改革)
FOF2.jpg●昇任枠の中で先任順でなく能力順で昇任を
現在は、例えば中佐に昇任する際、定められた中佐の数の枠に空きが出来た場合、承認資格を認められた者の待ち行列のなかから、名簿先任順で昇任させるが、これでは真に能力の高い者の昇任が遅れる。
名簿先任順での昇任枠配分を修正し、よりパフォーマンスの高い者が認知される制度
●昇任資格の基準柔軟化
現在の昇任資格要件では、現階級で必要な職務経験を積むことが厳格に規定されているが、視野拡大や能力拡大のため通常の勤務経験を積めなかった者に対しては、現要件を満たさない場合でも昇任資格を柔軟に判断するよう制度見直し
●民間高度技術者の相応階級での柔軟採用
高度な技術を有している民間人を、相応の階級で軍や国防省に直接雇用できる制度の制定。従来は有能な民間人でも最下級の階級からスタートさせざるを得なかったがサイバーや通信技術の専門家や医師などを相応の処遇で迎え入れる
●士官人事管理法DOPMAの柔軟運用を可能に
上記の施策だけでなく、今後緊急に柔軟に必要な人材を確保する必要が生じた場合、国防省がDOPMAを柔軟に運用していけるような権限の付与を要望
●人材募集データベースに最新情報技術を
現在でも国防省の募集機関では、優秀な人材を確保するため、どの地域でどのような募集活動を行えば効果的かを分析しているが、これに最新情報処理技術を導入し、米国全体の人口分析や募集戦略策定に活用する
優秀な文民職員の確保
FOF3.jpg●リクルーターによる直接採用方式の導入
現状ではリクルーターが大学や大学院等で優れた希望者や人材を見つけても、「USAJOBS website」を通じ、90日以上の手続きや更にセキュリティー確認を行う必要があるが、リクルーターがより直接的に採用活動を行えるよう制度を変更
●民間企業と国防省職員の人材相互交流強化
現在はIT分野に限定されている民間企業との人材相互交流を、例えば米輸送コマンドや兵站管理庁から、アマゾンやフェデックスと人材相互交流が出来る様に制度拡大
●国防省の文民職員にも産休制度を
軍人には認められている有給産休制度を、現在は対象となっていない文民職員(本当かよ!)にも拡大。民間企業にある産休制度を求め、国防省の人材が流出することを防止
●特別な文民有識者ポストの5割増
現在は国防省全体で90ポスト程度しかない特別な有識者ポスト(国防省デジタル技術部長、国防省戦略能力検討室長、米空軍の首席科学監など)を、今後5年間、毎年1割づつ増加する
また文民職員の視野拡大プログラムへの参加者枠を今後5年間、毎年1割づつ増加。更に国防省に必要な科学技術分野を研究する大学生等の人材を呼び込むため、奨学金を今後5年間、毎年1割づつ増加
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FOF4.jpg本日の写真は、「Force of the Future」推進のため、人材確保のため、全米の大学や企業等で精力的に講演するカーター国防長官の様子です
米国防省だけが人材確保に苦労している訳ではないでしょうから、米国の他の政府機関から横やりが入ることは十分予想できますし、族議員が大いに騒ぎ立てることもあり得るでしょう
カーター長官が今後どのように各方面に説明し、説得していくかに注目です
今までなかったの?・・と思うような文民産休制度の話などありますが、情報処理技術の導入による募集活動のてこ入れや、有能な民間人の柔軟採用やポスト増加は、日本にも上手い形で導入できないものかと思います。
日本が住民登録データを防衛省が活用して募集採用活動に大々的に動いたりすると、「軍靴の足音が」とか「徴兵制を準備か」とか、とんでもないマスゴミ偏向報道につながりそうですが、日本でも重要な検討課題のはずです
Force of the Future関連
「追加策:体外受精支援まで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-29
「全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「企業等との連携や魅力化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
米国防省「force of the future」特設webページ
→http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0315_Force-of-the-Future
米国防省発表のFact Sheet
→http://www.defense.gov/Portals/1/features/2015/0315_force-of-the-future/Fact-Sheet-The-Next-Two-Links-to-the-Force-of-the-Future.pdf
米国防省内への発表Memo
→http://www.defense.gov/Portals/1/features/2015/0315_force-of-the-future/Memorandum-The-Next-Two-Links-to-the-Force-of-the-Future.pdf

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