21日、北米コマンド司令官候補のLori Robinson大将(太平洋空軍司令官)と、欧州コマンド司令官候補のCurtis Scaparrotti大将(在韓米軍司令官)が、各ポスト就任の議会承認を得るため、上院軍事委員会でのヒアリングに臨みました
同委員会の両大将に対する信頼は厚く、同日Time誌が発表した「最も影響力ある世界の100名」に選ばれたロビンソン大将にお祝いを述べるなど、終始「おだやかな質疑:faced only light questioning」だった模様で、委員会の最後にマケイン委員長が議会で問題なく信任されるだろう旨の発言をしたそうです
また、先日カーター国防長官が国防省改正案を発表した「Goldwater-Nichols法」については、両者とも制定後30年を経て、見直すタイミングにあると所見を述べています
ただし両大将とも、ロシアに対する警戒感を露わにした証言を行っており、この部分を中心にご紹介します
ロビンソン大将は上院軍事委員会で
●米国が直面する最大の脅威はロシアである
●(北米コマンドとしては、)南部国境からの不法麻薬の流入が懸念であり、米本土の内部で生まれる過激派もまた脅威である
(同大将が承認されれば、女性として初の地域戦闘コマンド司令官となる)
欧州コマンド候補のScaparrotti大将は
●欧州コマンドの担当地域は、歴史的転換点を迎えている。ロシアはますます攻撃的になり、テロ組織がEU諸国に脅しを掛けている状態にある
●米軍はあくまで、国際法で認められている航行や飛行の自由を行うべきだ。
●またマケイン委員長が主張されているように、ロシアが仮に米軍兵士を危険にさらすようなことがあれば、米国はロシアにしかるべき措置を講じるロシアに言うべきだ
●米国はロシアに対し、「強く、明確で、一貫した態度」で臨むべきである。ロシアと向き合い、両国軍が近接する状況に於いて、どこまでが受け入れられる範囲なのかを明示する必要がある
●ロシアは、米国の決意の範囲を試すように圧力を掛けてきている。また国際規範と国際法の範囲を試すかのように圧力を掛けてきている
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まずは承認手続きが円滑なることを祈念いたします
また、ロビンソン大将のTime誌「最も影響力ある世界の100名」入りをお祝い申し上げます
両大将の証言直前に、ロシア軍のSu-24戦闘爆撃機が米海軍駆逐艦に攻撃パターンで10mまで接近、更に米軍電子偵察機にバレルロールで10mまで接近威嚇との事案があったこともありますが、「ロシアが最大の脅威」との公式発言は、ダンフォード統合参謀本部議長の議会証言(昨年6月)から一貫して続いています
核兵器を保有し、通常戦力も維持し、明確にゴリゴリ国益を追求する姿勢は、その言葉に相応しいと言えましょう
ダンフォード統参議長の証言(昨年7月)
「ロシアが最大の脅威」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10
ロビンソン大将関連
「北米司令官の候補に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-19
「次の空軍トップ候補は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14
「驚嘆:女性大将が対中国の指揮を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-03