JAXAの天文衛星「ひとみ」の様子がわかりますように!
28日Lockheed Martin社が、宇宙状況監視用の米空軍新システム「Space Fence」の試験用レーダー施設をニュージャージー州で開設したと発表し、米空軍や政府関係者も参加してオープニングセレモニーを行ったと紹介しています
「Space Fence」は、1960年代からVHF帯レーダーを使用して運用してきた「Space Surveillance System」の後継システムで、「Sバンド帯」を使用することで「ソフトボール程度の大きさの宇宙物体を、1200マイルの距離で発見、大きさ判読、追尾可能」と言われるシステムです
今回開設したのはあくまでも試験用のレーダーで、本物は赤道近くに配置することにより東西方向に最大広角の視野を確保できることから、2018年後半にマーシャル諸島のKwajalein島で運用開始の計画です。
なお米空軍は、第2号のレーダーを豪州に設置したいと考えているようですが、予算の関連で凍結されており、マーシャル諸島の1号機が完成後に判断する予定です
28日付Lockheed Martin社発表によれば
●この試験施設は、Kwajalein島に建設される大型本格施設に先立ちハードやソフトの検証を行うもので、「Space Fence」が目指す1日150万回の宇宙物体補足追尾により、GPS衛星等の衝突防止に役立てるための施設である
●また当施設は、「Sバンド帯レーダー」の設置要領や設置試験の要領の検証、メンテナンス要員の訓練にも使用される。(同施設は1月30日に宇宙物体の初観測を実施しており、その後今まで、様々な微調整を行っていたものと考えられる)
●「容易な開発ではない」と担当副社長が述べていたシステムだが、同社は窒化ガリウム半導体を活用した「monolithic microwave集積回路技術」を用いて「Space Fence radar」の設計を行っている
●ホノルルなら南西2100kmのKwajalein島では、大量のコンクリートを投入してセンサーの基礎工事が行われており、2018年後半の運用開始宣言を目途に作業が進められている
●同社のBruce Schafhauser担当部長は、「本施設のオープニングで、Space Fenceによって宇宙状況把握や宇宙ゴミ把握能力を約10倍高めることに1歩近づいた。オープンアーキテクチャー採用により、同システムは将来の多様な目標探知追尾に適応できるだろう」と自信を示した
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2014年4月にご紹介した際は、「機種選定が行われており、Lockheed MartinとRaytheonが米空軍の決定を待っている。強制削減の影響やSCMR検討等により、提案要求書の提示や選定業務が1年遅れとなっているが、5月には決定されるだろう」でしたが、ロッキードが担当で進めている模様です
その他にも米空軍は・・・
●米大陸Antiguaに配備していた「C-band radar」を豪州に移設
●DARPAが開発した光学センサーも豪州に設置予定で、静止軌道にある宇宙物体の状況掌握を大きく向上させる予定
●日本との間でも、JAXAが持つ衛星監視情報を米国の宇宙監視網と共有する方向で合意しており、航空自衛隊のレーダー情報の活用も議論されている
宇宙状況監視の過去記事
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28
「日米2+2で宇宙協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-04
「豪へ宇宙監視レーダー移設合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15
宇宙での戦いを訓練
「国際宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02