米企業:30 KW級以上のレーザー兵器が準備万端

Athena2.jpg15日、Lockheed Martin社が毎年恒例の「Media Day」を開催し、同社が取り組んでいる様々な装備や技術開発についてアピールするとともに、今後の企業成長の鍵は海外市場の拡大だと豪腕女性CEOが語る「ギラギラ感」もタップリのイベントだった模様です。
極超音速機の試作機を約1100億円以下で実現可能」とか、買収したシコルスキー社のヘリに搭載可能な多様な兵器を準備したとか、第6世代戦闘機の見通し等々も語られたようです
そんな中で、本日は話題のレーザー兵器に関する「30 KW級レーザー兵器なら、いつでも部隊に提供できる」との自信たっぷり発言をご紹介します。
極超音速技術関連のCEO発言
→http://www.defensenews.com/story/defense/air-space/2016/03/16/lockheeds-marilyn-hewson-touts-breakthroughs-hypersonic-weapons/81836070/
海外売り上げが「鍵」発言
→http://www.defensenews.com/story/defense/policy-budget/industry/2016/03/15/hewson-international-sales-key-lockheed-martin/81828812/
買収したシコルスキー社ヘリに多様な兵器を
→http://www.defensenews.com/story/defense/policy-budget/industry/2016/03/16/sikorsky-designing-black-hawk-weapon-kits/81861758/
15日付Defense-News記事によれば
Laser HEL.jpgLockheed Martin社のレーザー兵器開発に関係する3名の幹部達は、高価な弾薬やミサイルに代わる安価なエネルギー兵器の前線への提供が可能な時がついに来たと語った
●エネルギー兵器部長のPaul Shattuck氏は、「今我々には必要な技術がある。全てが手元にある」、「適当なサイズと重さで、熱管理を可能にしてパワーが発揮できる形で、艦艇や車両や航空機などの戦術プラットフォーム搭載することが出来る」、「どのように何時実現したいかを教えてくれればよい」と語った
●またDaniel Miller飛翔体システム上級研究員は、「その装置が存在するか、実現可能かの問いではなく、どのように迅速にプラットフォームに搭載できるかを問う段階にある」と表現し、最近10年間で本分野が著しい進歩を遂げていると語った
●つまり同上級研究員は、レーザー兵器を機能させる技術的問題の段階ではなく、前線部隊の装備品にどのように搭載するかを議論する段階にあると述べたのだ
Laser 3.jpg●記者からの質問「軍関係者が30kwのレーザー兵器を提供して欲しいと明日要求したら可能なのか」に対し、レーザー&センサーシステム上級研究員であるRobert Afzal氏は、他の2名と共に製造可能だと答えた
●これは映画で見るような都市を溶かすようなレーザー光線ではなく、15~30 KW級のレーザーで、特に航空搭載の場合、これ以上の出力確保には課題がある
●それでもShattuck部長は、30kw級レーザーが厚さ5cmの鉄板を「in seconds」で貫通可能だと述べ、例えばISILが使用する車両に、ミサイル等より安価に対処可能だと公に議論されていると述べた
●また同社は30kw級を「Athena demonstrator」で実現しており、昨年、1マイルの距離から小型無人機を目標とした一連の試験を行い、極めて高い精度で目標の無効化に成功していると説明した
Laser 4.jpg●最近の大きな進歩には複数の背景があるが、特に民政技術を転用した「fiber-laser技術」の導入が大きい。説明した3名は、装置をコンピューターサーバーの様なものと説明し、サーバーを追加すれば出力を増加させることが出来ると表現している
●同社は、米陸軍「RELY program」に基づき、今年末までに60kw級レーザー兵器を納入する準備を進めており、Afzal上席研究員が「組み立てを開始しており、アセットへの搭載調整を始めている」と説明しているように、出力アップは細部の調整で新たな開発とはならない
●なお米海軍は、先進レーザー兵器を浮揚前進搭載基地「Ponce」に搭載し、ペルシャ湾に展開している
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Laser Navy-LaWS.jpg昨年10月に「Athena demonstrator」をご紹介した際、、「光ファイバーレーザーはエネルギー兵器(DEW)に革命を起こした」、「軍用機、ヘリ、艦艇、トラックに搭載可能な軽量レーザー兵器を提供可能なことを示した」、「装置を繋げて120kwまで出力可能」、「小さな空間に格納可能で耐久性があり、冷却も容易で半導体レーザーより5割使用電力が少ない」等々の特徴をご紹介しました
「米陸軍は2016年前線に投入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-16
引き続き基礎知識が不足しているレーザー兵器ですが、ますます勉強の必要性を感じる今日この頃です・・・
レーザー&エネルギー兵器関連
「2012年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米陸軍は2016年前線に投入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-16
「ACC戦略2015では?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-12
「米空軍幹部が議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-29
「米国DEW兵器開発の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-23
「まずC-17搭載レーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23
「特殊作戦C-130にレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31
「特殊部隊とレーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-16

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