米空軍F-35:初期運用態勢IOCへの道

F-35 luke AFB.jpg1月26日、Lockheed Martin社のF-35担当責任者であるJeff Babione氏が米空軍協会総会で記者団に対し今年8月から12月に初期運用態勢IOC宣言を予定している米空軍F-35Aの準備に関し、「最後のホームストレッチ」にあると述べ、米空軍に必要なものの提供に努力していると語っています
しかし、Babione氏が挙げた「今後必要なもの」を聞いていると、シンプルに間に合うんですか???との疑問が浮かんできます
技術的な細部は不明ながら、IOCに必要な機体がまだ工場で製造中で、HMDもALISソフトも「待ち」の状態で、IOC前には点検に備えた演習も必要だと言われると、「形だけのIOC」「対外宣伝のためのIOC」「海外売り込みのためのIOC」ですか?・・・と突っ込みたくなります
1月26日付米空軍協会web記事によれば
Babione.jpg●今年8月から12月に計画している初期運用態勢IOC宣言に向け、「我々には幾つかやるべき事が残されている」が、Lockheed Martin社は「依然として当該期間の始め(8月)」を目指している、とBabione氏は記者団に語った
●現時点で、IOCに必要とされる12~24機のうち、7機がヒル空軍基地に提供されているが、8月までには、現在製造ラインにある5~6機を部隊に提供できると思う、とBabione氏は説明した
●米空軍はまた、自動兵站情報システムALISソフトの「version 2.0.2」や、HMDの「Generation III」も必要としている、とBabione氏は明らかにした
●なお米空軍F-35AのIOCは、海兵隊F-35BがIOCを宣言した際に使用したソフト「2B」と実質同じソフトを使用するが、使用するプロセッサーを最新にしたソフト「3I」を使用する
F-35 Gun test.jpg●(米空軍はIOC点検に備え、)IOC前に米空軍は、海兵隊のF-35部隊がIOC前にそうしたように、作戦可能態勢の航空機を演習環境で他基地展開して能力確認をしたいと考えている
●(具体的には、)米空軍のF-35試験部隊が、アイダホ州のMountain Home空軍基地に展開して「dry run of the evaluation」を行ったような要領であろう
●IOC宣言が可能となるためには、地上部隊支援攻撃CAS、航空阻止、「限定的な」敵防空システム破壊等の能力を保有していることを示す必要がある、Babione氏は語った
●そしてIOC能力が備わっているかは、米空軍戦闘コマンド司令官であるカーライル大将が最終的に判断するともBabione氏は説明した
////////////////////////////////////////////////////
先日は米国防省F-35計画室長のBogdan中将が、「米空軍が不可能と言わないから、予定通りのIOCを目指している」「5月になったら明確になる」と意味深な表現をしていましたが、企業の担当責任者も「依然として」との言葉で、「最後のホームストレッチ」でも「あがき」を表現しています
Babione2.jpg仮に12月にIOC宣言を出来たとしても、現在の状況からすれば、「とりあえず感」や「見切り発車感」が漂うIOCとなりそうです。
カナダやデンマークは最終段階でまだ「泥沼入り」を踏みとどまっていますが、米英日韓豪伊イスラエル等々は「泥沼入り」を選択しています
中国やロシアがF-35や西側最新鋭機との直接対決を避け(オフセットし)、その基盤基地を弾道ミサイルや巡航ミサイルで叩き、または無人機やゲリラ手法で機能不全に陥れ、空中戦の前に電子戦やサイバー戦で決着を付けようと努力している間に、貴重な人材も時間も資金も「実質戦闘機だけ」に投入する「亡国の道」を突き進むのか・・・
米国防省F-35計画室長の空軍IOC見通し
「5月に可否が判明する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-11-1
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
日本の戦闘機にまつわる悲劇と次世代思考
「悲劇:日本でF-35組立開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「悲劇:F-3開発の動き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「NG社6世代機の論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17

タイトルとURLをコピーしました