1月29日付「military.com」記事は、米陸軍が発見が難しく対処に時間的余裕がない小型無人機対処に様々な手法を検討する中、「DroneDefender」との通信遮断兵器が有望だと報じています。
小型無人機対処は米軍全体にとって大きな問題で、先日は米海軍が艦艇に同時侵攻する小型無人機対処に苦慮し、様々なシミュレーションで対処策を検討中であることをご紹介(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10)しました
評価中とのことで細部は明らかにされていませんが、興味深い取り組みで、半年後には何らかの成果が明らかになるようですのでご紹介します
なお、米陸軍がこの課題対処に、REF(Rapid Equipping Force:緊急装備化フォース)との特別チームを編成し、通常の装備品調達とは異なるスピード重視で取り組んでる点にも注目です
29日付「military.com」記事によれば
●この種の小型無人機は安価でネット上で誰でも簡単に購入でき、軍や公的施設に脅威を与える爆発物を搭載可能なものでもそんなに高価ではない
●REFのリーダーであるSteve Sliwa大佐は、米陸軍の別組織である「Asymmetric Warfare Group」や「Fires Center of Excellence」と協力し、武装した小型無人機を発見、識別、撃退する兵器の開発に取り組んでいる
●しかしこの課題は容易でなく、小型で高速で移動する無人機を遠方で探知し、攻撃するのは困難で、ショットガンや機関砲などでの対処を試みたが失敗に終わっている。
●そこで米陸軍は複数の企業に声をかけ、昨年9月にアリゾナの演習場で、小型無人機を発見、識別、撃退する技術のデモを依頼し、同時に敵がどのように米軍に対し無人機を用いるかも再考した
●REFのSliwa大佐は、まだ評価段階だとして細部は語らなかったが、米陸軍関係者はBattelle社製の「DroneDefender」について「使用可能な状態にあり、効果的だ」と表現している
●「DroneDefender」は肩に担いで使用する兵器で、関係筋によると、電波で無人機と操縦者の通信を遮断する装備の模様。Battelle社は評価中の装備に関する規則に沿い、同社webサイトから「DroneDefender」の情報を削除している
●米陸軍筋によると、「DroneDefender」の射程は数百メートルであるが、イスラエル製のレーダーと組み合わせるとより効果的に活用できる。同レーダーは数kmの捜索範囲を持ち、重さ20kg程度でリュック2つで運搬できる
●Sliwa大佐は他の技術や装備の導入も並行して検討していると語り、6ヶ月以内に候補を絞り込みたいと語っている
●同大佐は「前線部隊への提供に近づいている。試験を行っており、関係者の確認を得て、近い将来に装備化に関する意志決定を迎えるだろう」と語った
「秋元@サイボーズラボ」によれば
●30度の範囲に対してドローンのラジコン制御電波とGPSを狂わせる電波を放つのがこの DroneDefender なのだとか。
•0.1秒以下での起動
•5時間の連続稼動
•重さ4.5kg以下
●この電波銃で撃たれたドローンは、そのままゆっくりと地上に降下していき、着地します。指示する電波が途切れたらその場で地面へ降りる、という仕様のドローンだからそうなるようですが、この動作を取るドローンは多いそうです
●サイトには「米FCC の認可が出ないことには市販されることはありません」という注意書きが増えてました。ドローンだけじゃなくて電子レンジやら携帯電話やら他の制御機器やら、いろいろ止めてしまうかもしれないですからね。
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価格に関する情報がありませんが、興味深い装備です。
プリプログラムされ、外部からの操縦に依存しないタイプの無人機なら効果はないのでしょうが、短射程レーザー兵器との組み合わせが有効かもしれません
しかしここにもイスラエル企業が・・・ハイテク最先端で、スタートアップ企業が続々と現れるイスラエルならではでしょう
米海軍の無人機対処取り組み
「無人機の群れ:Swarm」で艦艇の攻撃や防御
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
2015年の「Best of What’s New」に選ばれた
「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04
イスラエルは起業大国
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20