米軍サイバー司令官:8割は個人の意識で解決

Cyber Command.jpg1月21日、米軍サイバーコマンド司令官(兼ねてNSA長官)のMichael Rogers海軍大将がAtlantic Councilで講演し、2016年の戦略的優先事項について語っています。
同コマンド司令官として2年勤務した経験も踏まえ、なかなか細部に踏み込んで語れない分野ですが、米国や米軍におけるサイバー分野での関心事項が伺えますのでご紹介します
ポイントは、「ネットだけでなくシステム全体で」「5年を経て更なる飛躍を」「パートナーシップ強化」「サイバー衛生の文化を:8割が個人の意識」といった事項です。
21日付米国防省web記事でご紹介します
ネットだけでなくシステム全体で
Rogers NSA.jpg●今年を通じ、ネットワークの枠を超えて、同様に脆弱性を持っているシステムやプラットフォームの枠にまで拡大して問題に取り組んでいきたい
●とても大きな課題であるが、調達分野にも関与し、システムの購入や設計段階にサーバーセキュリティーの視点を取り込んでもらうように取り組む
現在国防省が使用しているシステムの多くが、サイバーの観点で重複性や強靱性や防御性を重視された装備ではない。これは国防省だけの問題では無く、他の政府機関や民間企業でも今や日常の問題となっている
5年を過ぎInflection Pointへ
サイバーコマンドを創設して5年が経過し、今年は本コマンドにとっての「Inflection Point」となる。最初の5年間は、3つの任務である国防省ネットの防御、民間ネットに重要事象が発生した際の命じられた場合の対応、サイバー部隊能力の防御から攻撃までへの適用の態勢を固めてきた。そしてその任務遂行能力が形になりつつある
●これまでのハードワークが実を結び初め、これ能力をより広範囲に適用し始めることができるだろう。これは国防省にとっても、米国にとっても前向きなことである
パートナーシップの強化
Rogers NSA2.jpg2年の勤務経験から学んだのは、サイバーセキュリティーとはパートナーシップにより成り立つと言うことである。どの組織も、どの国も、単独で本分野に関する対策が可能なものは存在しない
●我々にとって、如何に協力的に、如何に革新的にサイバードメインの仕事に取り組むかが問われている。ここでは、広範な視点を持ち寄って協力しながら成果を出すことが必要で、多くの時間を「how to」に費やしている
2016年は国際的なパートナーシップを焦点にする年にしたい。皆さんは、我々がますます鍵となる同盟国や友好国と関係を強化するのを目にするだろう
●多くの国がサイバーコマンドのような組織を持っており、2016年はその協力にパワーを構築することを焦点の一つとし、どのように進めるかを考えていく
行動と抑止の規範の上で諸国が動き始めることで、ダイナミズムが力となっていくのではないか
サイバー衛生の文化を
(8割が個人の意識)
国防省全体で取り組んでいるのが、兵士に武器を与える際に、兵士が心得て厳守すべき事項のように、サイバーに関する「衛生」や「セキュリティー」意識を如何に植え付けるかである
Cyber-Op.jpg武器を兵士に与える際には、正しく操作し、防護し、むやみに用いず、定められた条件下で使用するよう教え、武器の管理に責任を持たせる。この感覚をサイバー分野にも植え付けたい
サイバー分野における基礎的な「衛生感覚」を植え付けるだけで、サイバー防御に関する我がコマンドの現在の業務の8割は不要になり、真に重要な課題に集中できる
●これもまた国防省に限ったことではなく、民間分野でも同じ課題と向き合っている
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サイバーや宇宙、更に電子戦に関する分野で、米軍内の意識改革に取り組もうとする発言や動きが、今年に入って各方面で進められているようです
また、国防省webサイトが記事として取り上げた点でもそれなりのメッセージ性があるのでしょう
お金が無くてもできることから始めよう!・・の精神かも知れませんが、中国などは正面対決では勝てないと悟り、弾道ミサイルや巡航ミサイル、サイバーや宇宙や電子戦に精力を注いでいるわけですから、当然の取り組みです
「中国には君らも脆弱だと言っている」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23
「米空軍の宇宙への姿勢を変革中」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19-1

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