P-8はシンガポールに「1週間だけ」配備です!
7日、カーター国防長官とシンガポールのNg Eng Hen国防相がワシントンDCで会談し、国防協力合意(DCA)に署名し、1990年の協力覚え書きや2005年の戦略枠組み合意を発展させる方向で、安全保障分野での協力を進める合意をしたようです。
一部メディアが「米国P-8哨戒機のシンガポール配備に合意」と報じたようですが、正確には「12月7~12日の間だけ一時的に」展開することに合意し、その根拠は1990年と2005年の合意に基づくとの不完全燃焼感が漂う発表です
シンガポールと米国間では、沿岸戦闘艦LCSの4隻配備(現在2隻目まで配備、来年3隻目で17年に4隻目)とか、F-35売却交渉とか、米国のアジア太平洋リバランスを支える案件があるはずなのですが、あまり進展があるようには見えません。気のせいでしょうか?
8日付Defense-News記事によれば
●(一時的なP-8対潜哨戒機のシンガポール展開に関連し、)両国防相は報道発表で、P-8の将来のシンガポール展開は、2国間や多国間の演習を通じ、地域諸国との相互運用性を高めることを促進するだろうと述べた。
●合意された国防協力合意(DCA:defense cooperation agreement)には、5つの分野が含まれ、それらは軍事、政策、戦略、技術、そして海賊やテロ対処等協力である
●また共同声明では、新たな分野である人道支援、サイバー防衛、バイオ安全保障、public communicationsでの協力にも合意し、更にハイレベルな国防対話導入にも合意している
●シンガポール国防相は6~10日の間米国に滞在し、国防省関係者や議会関係者と会談することになっている。
●1日には、シンガポール空軍の60機のF-16を能力向上する、約1100億円の契約がLockheed Martinと結ばれ発表されている
●来年2月のシンガポール航空ショーでは、V-22オスプレイやF-35戦闘機に関する協議が両国国防関係者の間で行われると予期されている
●両国防相は、1990年と2005年の合意のそれぞれ25周年と10周年のタイミングに当たるこの機会は、両国の国防関係を推進する良い機会だと評価した
本件関連の米国防省web記事
→http://www.defense.gov/News-Article-View/Article/633243/carter-singapore-defense-minister-sign-enhanced-defense-cooperation-agreement
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米国防省web記事は、シンガポールがアフガンやイラクの安定復興や、アデン湾での海賊対処に米国と協力して貢献していることを讃えていますし、2014年から対ISILにシンガポールが貢献しているとも記載しています。
両国間には、35年の歴史を持つ陸軍共同演習「Tiger Balm」や、20年の歴史がある海軍演習「Cooperation Afloat and Readiness Training」、25年の歴史がある空軍演習「Commando Sling」があります
またシンガポール空軍は米本土に、常駐のシンガポール空軍操縦者訓練部隊を置いています。
東南アジア諸国の中では、米国との関係が順調な国なのでしょう。それでも小国ですからインパクトには欠けます。小さな事からコツコツと・・は重要なのですが。特にP-8に関しては将来にどうするつもりなのかよく分かりません。
シンガポールの話題
「2015年シャングリラ会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「飛行船レーダー配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-04
「F-35交渉が難航?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-26
「ドイツ製潜水艦2隻を契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-03
「米との戦略枠組みが難航?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-06