26日付で中国国営新華社通信は、中国軍の指導機関・共産党中央軍事委員会トップの習近平主席(国家主席)が24日に軍の会議で演説し、中国軍が検討を進めてきた軍改革案の概要を正式に公表したと報じている模様です。
南シナ海問題などで高まる米国などとの緊張を背景に軍改革を加速させ、2020年までに、改革に一定のメドをつける狙いがある模様で、国内の地域防衛区分である7大軍区を、陸海空軍などの統合運用を行う「戦区」に改編することを柱とした内容を指示したようです。
習近平が指示した内容を、27日付読売新聞朝刊7面の記事を再構成してご紹介します
中国軍改革のポイントは・・・
●「数量&規模型から、質&効率型への転換を推進する」、「戦える軍隊」と主席は強調。人員削減を進める事で軍を精鋭化し、米軍に対抗するための新装備導入や開発を加速する可能性も
●9月3日の「70周年」演説で発表した30万人削減を2017年までに完了させ、その後、段階的に改革を進めるものと見られていたが、主席が直接改革実行を指示したことで、特に南及び東シナ海沿岸部で改編が前倒しの可能性も
●新たな情勢に対応するため「中央軍事委員会が全面的に軍を管理する」と指示し、また同委員会内に汚職摘発機関や司法統括機関の設置も指示、軍の指導機関だった共産党中央軍事委員会に更に権限を集中させ、権限強化を進める
●習近平国家主席は、政権の任期満了である2022年以降も、同軍事委員会トップの主席に留任するとの観測が高まりつつ有り、長期にわたる軍掌握力強化への布石との見方もある
●従来の7大軍管区を戦区に再編し、各戦区を陸海空軍に第2砲兵(戦略ミサイル部隊)を加えた4軍編制の統合運用組織である「合同作戦指揮機構」に改編する。報道では「改革に向けたスケジュールに基づき、2020年までに合同作戦指揮体制改革に進展をもたらす」と表現されている
●中国軍関係者等の情報を総合すると、「5大戦区」にする案が有力視されている模様
●情報技術化戦争に勝利出来る体制を構築
関連の中国メディア報道として読売は
●中国軍は23日、超超音速ミサイルの6回目の試験を実施(米国防省が開発を行っていた「CPGS:通常兵器による世界規模即時攻撃」を目指すミサイルの中国版と考えられる。米国は予算不足で進捗は不活発)
●24日、J-20ステルス戦闘機の最新版が初飛行
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中国政権と軍の関係や、習近平派閥と軍の関係など、中国国内の権力闘争の具合についてはコメントする知識がありませんので、とりあえずメモ代わりに読売報道をまとめてみました。
今後、専門家の方が種々分析されると思うので、その予習にご活用下さい。
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