5日付ロシア紙のインタビュー記事で、ロシア空軍司令官がシリアに地対空ミサイルを派遣した理由や、10月初旬に露空軍機がトルコを領空侵犯した理由を「言い訳」しています。「犬も食わない」言いわけでしょうが、とりあえず「Take note」しておきます
おまけで、4日のDunford統合参謀本部議長の初来日の模様を、写真でご紹介します
ロシア空軍司令官の「言い訳」
●5日付ロシア紙「Komsomolskaya Pravda」に掲載されたインタビューでViktor Bondarev露空軍司令官は、シリアに地対空ミサイルなど防空兵器を派遣したことを公式に認め、「戦闘機や攻撃機やヘリコプターだけでなく、対空ミサイルシステムも派遣している」と語っている
●同司令官は「不可避な状況が発生する可能性を考えなければならない。例えば、軍用機がハイジャックされ、ロシア軍への攻撃目的をもって利用される可能性もある。そのような状況にも備える必要がある」と説明した
●関係筋はインターファックス通信に、シリアに派遣された防空システムは「BUK」と「Pantsir」だと語り、「イスラエルがシリア国境沿いに配備している防空システム(Iron dome)に沿って、露軍防空システムが配備されている」と語っている
●Bondarev露空軍司令官は「50機以上の航空機やヘリを派遣しているが、現在の所要に合っており、現状では増強の必要はない」と同誌で語っている
まんぐーすの注釈
—-「BUK」は地対空ミサイルで、2014年7月17日にマレーシア航空MH-17便を撃墜した兵器として知られている。誰が撃墜したかは不明だが、同ミサイルをロシアが反ウクライナ勢力に提供したことが明らかになっている
—「Pantsir」は地対空ミサイルと対空機関砲を組み合わせた車両搭載型システムで、別報道によれば、最新型の「Pantsir」が持ち込まれたと言われている
—イスラエルの「Iron dome」は、元来ハマス等のパレスチナ勢力が打ち込む「軽易なロケット弾」を迎撃するために開発された防空システム。射程は短く、航空機対処能力は限定的か
NATO軍司令官Breedlove米空軍大将
「対ISのために、ロシア軍が高性能SAMをシリアに派遣する必要があるのか?」(9月28日発言)
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-30-1
トルコ領空侵犯については
●10月3日に露軍機がトルコ領空を侵犯をした件について同司令官は、「トルコ領空沿いに飛行していた際、雲中飛行となったが、露軍機のシステムが地上の防空兵器から捕捉足されそうだと警報を発した」、
●「そこで露軍機操縦者は、対空ミサイル回避行動を行い、致し方なくトルコ領空にわずかに侵入することになった。既に(露国防相が)認めたとおりである」と説明した
●露国防相は10月3日の領空侵犯について、悪天候のためと説明していた
●トルコ側は、ロシア機は(トルコの警告にもかかわらず領空侵犯し、)2機のトルコ空軍F-16の要撃を受けて領空から退去したと主張しており、NATOも同事案を「重大な違反行為だ」と非難していた
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ロシア軍が持ち込んだ「BUK」等の地対空ミサイルが、「イスラエルが(シリア国境沿いに)配備している防空システム(Iron dome)に沿って、露軍防空システムが配備されている:The system is set up along the lines of Israel’s Iron dome」と解釈してご紹介していますが、Iron domeの性能目的などからして、インターファックス報道の「関係筋」発言の意味はよくわかりません。あしからず・・・
以下でご紹介するDunford大将の訪日間(韓国訪問間も合わせ)も、対IS作戦に関する情報発信が盛んに行われています。
米国メディアからDunford大将への質問は、イージス艦ラッセンの「航行の自由作戦」には当然触れつつも、対ISやエジプトでのロシア機墜落(IS関与の疑いあり)に関するものが非常に多くなっています
米国の「アジア太平洋リバランス」への関与が「揺るぎないこと」をアピールし、「同盟関係の充実強化」の必要性を相互に再確認する初来日でしょうが、世界情勢に対処しつつで大変なDunford議長です
11月4日のDunford大将初来日写真集
(安倍総理と河野統幕長表敬・会談など:米軍撮影)