新しい米海軍人トップCNOの初海外は日本

Richardson4.jpg22日付Defense-News記事は、9月18日に米海軍人の新しいトップ:海軍作戦部長(CNO:chief of naval operations:米海軍に参謀総長ポストはない)に就任したJohn Richardson海軍大将が、就任1ヶ月間で日本を皮切りに世界各国を訪問した感想等を語ったインタビューを掲載しています。
23日米国に戻るまで、同大将は、ハワイ、日本、韓国、湾岸諸国、イタリアを訪問し、日本と韓国では「観艦式」に参加し、イタリアでは「seapower symposium」に出席したようです。
時節柄、22日のインタビューでは南シナ海問題が中心に扱われており、同大将は慎重に言葉を選んで対応していますが、「行くべき時には行く」とのニュアンスの決意も伺え、信念の強さが伝わってくるような気がします
2代連続で潜水艦乗りが海軍トップにつき、また過去前例のない「director of Naval Reactors:米海軍原子力機関監督官」ポストからCNOに抜擢された異色の人材で、米海軍内の評価とは別に、政権や国防長官の強い意向が働いた人事と噂されているところです。
とりあえず、ご就任祝いの紹介も兼ねて取り上げます
同大将の経歴→http://www.navy.mil/navydata/bios/navybio.asp?bioID=440 
22日付Defense-News記事によれば
質問の背景→9月14日ロンドンの国際会議(海自の大塚海将も出席)で、
Yuan Yubai.jpg中国北海艦隊司令官のYuan Yubai中将が「南シナ海は全ての国の海であり、平和の海である。(一方で)南シナ海は、名前が示すように中国に属する海域である。唐王朝の時代から、中国人は周辺海域で営みを続けてきた。また南シナ海の現状は、安全と航海の自由がある海域である」と述べた件が念頭にある
関連記事→http://www.defensenews.com/story/defense/show-daily/dsei/2015/09/14/royal-navy-britain-first-sea-lord-zambellas-south-china-sea-japan-china-dispute-rusi-desi-london/72284844/
新CNOへのインタビューより
●繁栄とアクセスを守るのは、皆が従っている規範やルールのシステムであることは明らかだ。これらの安定したシステムを享受して繁栄を謳歌している国が、その仕組みと反対の行為を行っているのことが興味深い
Richardson6.jpg多国籍のアプローチ、国家間の協力に基づくアプローチを推奨したい。「オレの海だ」とかの視点ではなく。南シナ海は世界の貿易の3割が通過する海域であり、誰にも属さず、開かれた国際海域である
●(米海軍が南シナ海に海軍艦艇を派遣する計画で、駆逐艦Lassenが待機しているとの情報に関し、細部への言及は避け、)世界国家としての米国の立場を強化する点に置いて、米海軍は国際海域を通過することが出来るし、国際海域への関与は強固である。
●米国大統領以下、立場は一貫しており、国際規範とルールのシステムは、何人にも挑発を受けてはならないし、国際社会システムの中でのいつもの取り組みである
中国とロシアは共に、それぞれに都合良く事態が運ぶように影響力を行使している。中国は恐らく繁栄を求めてのことだろうし、ロシアは多分ほかの動機があるのだろう
●両国とも海に目を向けている。仮に我々が「a global power」であろうとするなら、いつかの時点で海の進出し、影響力を増し、より進出し、繁栄を追求しなければならない
世界各国を訪問し
Richardson5.jpg●このように世界中を訪れると、世界に展開している米海軍15000名の兵士が、常に任務遂行の体制を整えていることを再確認でき、大きな影響力を持っていることを感じる。また兵士達の任務や平和に対する高貴な姿勢は、私を奮い立たせてくれる
●もう一つ、全ての場所で、海における国際協力の推進を改めて目の当たりにし、素晴らしい仕事をしていることを確認できた。また協力分野が極めて広範で、何が出来るかに目を向けて推進され、効果的な海洋パワー海洋影響力であることを確認した。
//////////////////////////////////////////////////
駆逐艦Lassenがどのような任務を帯び、どのような行動を取るのか全く予想できませんが、「シリアでの化学兵器使用のレッドライン発言」で株が暴落したオバマ大統領ですから、今度は何かすることになるのでしょう
Lassen.jpg日本はその後、何を期待されるのでしょうか? 来年の参議院選を控え、「安保法制」の運用は慎重な上にも慎重を期す必要がありましょう。
南スーダンや南シナ海で、仮に自衛隊員や関係者の生命に影響が及ぶとすれば、「1名=10議席」の影響がでると見積もる評論家もいます。不謹慎な話ですが、それが政治の世界でしょう。
太平洋海軍で、潜水艦の艦長や艦長教育係を勤めた経験のあるRichardson海軍大将です。
日本を「一番」に選んでくれたお礼に、今後のご活躍を大いに期待いたします!
新CNO:Richardson海軍大将の関連
「海軍内では信頼薄い!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14
「ノミネート会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-1

タイトルとURLをコピーしました