米情報機関トップ:米中サイバー合意に期待出来ず

Clapper.jpg29日、米上院軍事委員会に出席したJames Clapper国家情報長官(DNI:director of national intelligence)は、米中首脳会談における「お互いサイバー泥棒はしません合意」に関し、合意の効果についてマケイン委員長から「楽観的か?」と問われ、「NO」と回答しています
DNIは、CIAや米軍情報機関であるDIAの情報の他、国務省や商務省等々の情報や活動を統括するポストで、2008年頃に出来た米国情報機関の束ね役ポストです。
またハーバード大法学部の教授は当該合意に関し、米中双方で発表している合意内容が異なると指摘し、双方が言いたい放題可能な状態になっていると現状を語っています
29日付Defense-News記事によれば
Clapper2.jpg●29日の上院軍事委員会に、Work国防副長官やMichael Rogers米軍サイバーコマンド司令官と共に出席したClapper国家情報長官(DNI)は、マケイン委員長に「米中首脳による新たなサイバー合意の効果について楽観的か?」と問われ、委員会出席者が注目する中、しばらくの沈黙の後、しっかりとした口調で「No」と答えた
●更にClapper長官は「合意による春が継続することを願うが、個人的には懐疑的だ」、「我々の任務は、中国による知的財産や他の重要情報の強奪が今後あるのかどうかを注視することである」と証言した
●同合意に関する米国側発表によれば、「米中両国政府は、両国の企業等が優位を獲得するために、取引上の非公開情報を含む知的財産を、サイバー空間で盗んだり、同行為を支援したりしない」と表現されている
●しかしハーバード法律大学院のJack Goldsmith教授は、中国側の本合意に関する発表はそんなに厳格な表現では無く、習近平も中国高官も米国側発表のようには語っていないと指摘している
合意について専門家は・・・
Goldsmith.jpg●Goldsmith教授は「中国主席は単に、中国は商業面の知的財産窃盗に強く反対し戦っていくとだけ語り、米国より曖昧で狭義な表現しかしていない。更にこの表現は、中国によるサイバー攻撃が指摘されるたびに中国が示してきたスタンスと同じである」と評価している
●同教授はまた、「両国間でサイバーに関し何らかの進展があったように見せかけておきながら、両国が合意について好きなことを言えるような状態になっている」と現状を語った
●中国は私的財産の窃盗で、後ろ指を指され続けている。2009年にLockheed Martin社が大規模にハッキングされた後、F-35にそっくりのJ-31の存在が明らかになり、また同社が米空軍に納入した対空監視レーダーと似たレーダーが中国製で登場したりしている
●サイバー攻撃による経済的被害を問われ、Work国防副長官は同委員会で、「中国は過去、その様な活動を行ってきた」と語った
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USCC4.jpg中国側が曖昧な表現をしているとは知りませんでした。それでは効果は期待出来ませんし、楽観的にもなれません。
一応米側は、合意が実行されなかった場合の経済制裁に言及し、具体的な制裁対象等を挙げて交渉を行ったようであり、その意味では前進があったと言えるのかも知れません。
日本で報道されている通り、ローマ法王とのバッティング訪米等々も有り、あんまり中国側に成果は無かったようですが・・・。日本の報道は信じない方が良いかな・・

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