プーチンは言った「通常戦を押さえ込む(constrain)ため、ロシアは核兵器を使用する」と
17日、米空軍協会や「Task Force 21」との団体主催で開催された「nuclear deterrent triad:核抑止兵器3本柱」の維持を訴える集会で、退役将軍や議員等が核兵器の重要性や、「3本柱」体制を維持するために兵器の価格低減に努力する姿勢を訴えました
日本では決してありそうもない集会ですが、どこかの政党のように「何でも反対」ではなく、双方の主張にまず耳を傾ける姿勢を持ちたいと思うので、ご紹介します
核兵器維持集会の雰囲気は
●核兵器の非拡散政策に関わってきたFrank Miller元大統領補佐官は、元空軍参謀総長のLarry Welch退役大将や元米戦略軍司令官のRobert Kehler退役空軍大将らとともに、核抑止戦力は冷戦当時と代わることなく重要だと訴えた
●Kehler退役空軍大将は、ロシアのプーチンが「通常戦を押さえ込む(constrain)ため、ロシアは核兵器を使用する」と発言していることや、中国や北朝鮮の核戦力に言及しつつ、「核兵器は世界の多くの国にとって国防政策の一部であり、世界から核兵器は消えることはないし、近い将来にそうなることはない」と訴えた
●Welch退役大将やFrank Miller氏は、「核抑止兵器3本柱」の維持や兵器の改善が必要だと主張した
●またノースダコタのMinot商工会議所で開催された集会に参加した超党派の議員達は、「核兵器反対派グループ」が核兵器廃絶が「人道的なステップ」だと主張している点を批判し、20世紀前半の通常兵器による大量破壊行為があった後、1945年以降は主要国間の大規模紛争が抑止されていると訴えた。
ICBMとSLBMの部品共通化でコスト削減を
●17日、米海軍の戦略兵器計画部長であるTerry Benedic中将は同集会で、海空軍は、数十年使用している潜水艦発射の「Trident D5」と地下サイロ発射の「Minuteman III」の維持による「3本柱」体制の維持に苦労していると訴えた。
●そして同中将は、米海軍と米空軍の戦略核ミサイルの後継検討に置いて、両ミサイルの部品共有を検討する「intelligent commonality計画」を遂行中で、これによるコスト削減を目指していると語った
●両軍はそれぞれ戦略ミサイルの後継開発を迫られているが、厳しい予算状況の中で高価格となる見積もりがあり、「これまでとは異なるやり方が求められている」、「国家指導者に経費面でも実行可能性がある案を提示する必要がある」とBenedic中将は語った
●同中将は米空軍の目的を共有するチームと検討を続けており、同じ潜水艦の発射管と地下サイロを使用できることを大前提に、「両軍の戦略ミサイルのどの部分を共通化できるか」を吟味していると説明した
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冒頭のプーチン大統領の発言が、「何時、どこで」かは米空軍協会web記事から確認できませんが、エネルギー価格の低下で追いつめられつつあるプーチンによる最近の発言でしょう。
通常兵器の致死性や精度や速度や破壊力が増す中、特定の国にとっては核兵器使用の敷居が低くなっているのかもしれませんし、その辺りは専門家のご意見を伺いたいところです
また核兵器を巡るもう一つの側面として、緊張感を維持することが困難な「核兵器に関わる兵士の士気低下問題」が、依然として未解決の手付かず課題であることを申し添えておきます
米軍のICBM「ミニットマン3」の後継選定が来年にも開始か
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30-1