7日、米空軍はE-8C JSTARSの後継機選定の前段階として候補を3企業の提案に絞り、各企業に約10億円の資金を与えて全システム概要検討、基礎設計やデモ主要システム開発をさせると発表しました。
このJSTARS後継機は、2023年に初期運用体制IOCを確保出来るよう計画が進められており、米空軍の中では次期練習機と同様に、F-35、KC-46A、次期爆撃機に継ぐ優先事業と見なされているようです。
なおE-8C JSTARSは、1992年の湾岸戦争に開発途中で初実戦投入された地上目標探知システムを搭載した航空機で、レーダーで敵地上部隊を探知、識別し、味方地上部隊を指揮・管制する役割を担います
JSTARSは「Joint Surveillance Target Attack Radar System」の略です
10日付米空軍協会web記事によれば
●この約10億円のpre-EMD(pre-engineering, and manufacturing development)契約は、「各提案の技術的成熟度を見極め、システム統合開発のリスク低減を図り、設計段階から生涯経費を削減するため」と米空軍は説明した。
●具体的には、9月上旬に第一段階のレビューをケンドール国防次官(調達技術開発担当)を行い、約3年後に機首及び製造企業を決定する予定。
●ただ最近のインタビューでLaPlante空軍次官は、このあたりの事業は予算の強制削減の状況によっては実現が困難になる可能性のある「グレーゾーン事業」だと表現している
3企業の提案概要は?
●米空軍は従来からJSTARS後継機に関し、「ビジネスジェット」や「市場で調達可能な航空機クラス」との表現で、E-8Cより小型の機体が望ましいと公言してきている
●3企業の提案概要は
—ボーイングは、737-700旅客機を基礎に、P-8対潜哨戒機のパーツを多く活用する案
—N-グラマン(JSTARS製造会社)は、Gulfstream 550を基礎としたデモ機で米空軍基地を巡回中
—ロッキードは、レイセオン&ボンバルディアと組み、Bombardier’s Global 6000を基礎とした案
●米空軍は後継機に、長さ4~6mのレーダーを搭載して高度4万フィートを飛行させたいと考えており、市販システムやエンジンを可能な限り採用したい意向を持っている
●また米空軍はこのpre-EMD契約期間に、各提案企業が後継機製造の高リスク箇所を明らかにし、そのリスク低減策を提示する事を期待している
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この機種選定でも、既存の機体活用としっかり事前検討で開発リスク低減、当初からライフサイクルコスト削減を念頭に設計、要求事項の早期公表による競争促進等の方向性が明らかです。
上手く行くと良いですね! 技術進歩で小型化が可能になったんでしょうか・・・
しかし・・・どこでJSTARS後継機を使用するイメージなんでしょうか???
こんなゲーツ国防長官(2011年当時)の言葉が頭に・・・
(陸軍士官学校での講演で)
「次の本格紛争では主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
JSTARS後継機に関する記事
「2023年は新装備が集中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-14
「ACC司令官がJSTARS後継切望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-03
「女性中将が語る開発装備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-21