FA-18追加購入を巡るペンタゴン内紛!?

F-18.jpg22日付米海軍協会web記事が、2016年度予算案で国防省が要求リストに含めていない12機のFA-18追加購入について、米議会が前向きな動きを見せる中、追加購入によって他の予算が削減されるとを懸念する国防省と、「買ってくれたらラッキー」との思いの米海軍の姿勢に乱れが生じていると指摘しています
そんな微妙なタイミングの22日、FA-18を製造するボーイングが、近い将来の追加購入要望に応じられるよう、現在製造中の2015年予算分の最終発注のはずだった15機を「ゆっくり製造」することで、生産ラインを2017年末まで維持すると明らかにし、波風を立てています
22日付米海軍協会web記事の概要は
初期型のFA-18が中東やアフガンで当初計画以上に酷使された事を受け、機体の痛みが激しく海軍首脳は懸念を深めており、海軍トップのグリーナート大将は3月議会で、「3個飛行隊分36機が不足する恐れがある」「追加購入によって部隊のリスクを緩和できる」と語っていた。
●複合材を多用するFA-18の寿命見積もりは難しい点もあり、現在定期修理入る機体等の状況を分析中で、寿命見積もりは来年夏までかかる見込み
FA-18.jpg●本来、2月に国防省が議会に提出した2016年度予算案には、FA-18の追加購入は含まれていない。
●しかし3月に議会が各軍種に、予算枠の制限で予算案に含めることが出来なかった要求を優先順位を伏して提出(submit an Unfunded Priorities List to Congress)することを求め海軍は12機のFA-18を同リストに入れた
米海軍は同リストを議会に提出した際、国防省の方針沿い、「本要求を犠牲にして、このリストの項目に予算を付けるべきではない」とのレターを付している
ボーイングは生産ラインを当分維持する施策を採った理由を、「米海軍や諸外国から可能性のある購入要望に応えるため」と説明している
●外国で購入可能性があるのは、今後数ヶ月以内に機種決定を予定しているデンマークや、ある中東の国も購入に向け米海軍と協議を行っている模様だ
両院軍事委員会等の動きは?
上院と下院の関連4つの軍事関連委員会は、全てが12機のSuper Hornet購入に賛成の意向を示しており、予算法案の文案の細部検討を行っている
●しかし国防省は他の予算項目を犠牲にしてFA-18追加購入に向かうこの動きに警戒感を示し、7月初旬に両院軍事委員会に追加購入中止を求めた
F-18CV.jpg21日、米海軍報道官は「FA-18の追加購入により、部隊の運用リスクを緩和できる」「FA-18に関心を示してくれた議会を評価する」との3月の議会証言を再度繰り返した後、「正規予算案の項目を満たすことが優先だ」と付け加えた
●議会の予算小委員会が、追加購入を正式に予算法案に盛り込むことを決定するのは本年末である。両院の軍事委員会は、予算支出を命じることが出来るが、その分の予算確保はしない。(つまり他の予算を犠牲にし、国防省は命ぜられた予算執行を行う義務を負う
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米海軍や議会の軍事委員会がFA-18を求めるのは、空母艦載機不足のリスクを避けたいこともありますが、FA-18や電子戦機型F-18G Growlersを分厚くし、中国防空網突破の構えを強化したいこともあるでしょう
そしてもちろん、見通しうる将来における厳しい予算環境を念頭に、F-35の調達数を削減せざるを得ないことも、計算にあるのでしょう
いろいろな意味での「先行指標」として、注目したい米海軍FA-18 Super Hornet追加購入の話題です
FA-18関連の記事
「機体疲労深刻:FA-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-07
「なぜ追加でF-18が必要?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-15
「35歳FA-18の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15
戦闘機を巡る海空軍の火花!?
「海軍と空軍が共同で戦闘機検討?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-30
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「母機よりも搭載装備を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-11

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