17日付ボーイング社の発表によれば、経費固定契約で開発製造に取り組んでいる「米軍3大重要事業」の一つKC-46A次期空中給油機が、燃料系の不具合で約650億円の追加経費が必要になるようです。
KC-46Aの経費固定契約は、当初の18機(総計は179機の計画)と製造工場立ち上げで約6000億円($4.9 billion)のプロジェクトですが、機内電気配線の不具合で既に約330億円の追加経費を投入しており、合計で1000億円近い「契約外」追加経費を強いられています
20日付米空軍協会web記事によれば
●約6000億円($4.9 billion)の経費固定契約のKC-46Aプロジェクトだが、昨年の段階で政府は恐らく7200億円($5.9 billion)は総計で必要だろうと予測していた。その時点でボーイングは、電気配線以外で追加の不具合は無いと主張していたが・・・
●機内電気配線の不具合は、配線のシールドが不十分でかつ密集しており、被害を受けた際の残存性や代替性が確保されていない点が問題であった。
●ボーイング関係者は、燃料系統と電気配線以外の問題による追加経費の可能性について問われると、コメントを避けた
●少し前までは数ヶ月前倒しで進んでいたが、燃料系統と電気配線のトラブルにより、KC-46Aの開発は8ヶ月遅れとなっている。完全な形のKC-46Aの初飛行は今年年初に計画されていたが、現時点では8月に設定されている
最初の18機を2017年8月までに納入するため
●契約では、ボーイング社は最初の18機を2017年8月までに納入することとなっている
●17日の声明で同社は、燃料系統システムの改修にあたり「契約スケジュールを守りつつ、製造・技術的な対応をするための経費」だと説明し、「(経費追加は)残念だが、顧客のためにスケジュールを守るためだ」と述べている
●追加経費には、燃料システムの再設計費、再設計に対応する工場の変更経費、設計変更の試験と承認経費等が含まれる
●ボーイングのDennis Muilenburg社長は、「やるべき事ははっきりしており、長期的視点でKC-46A計画の価値を信じている」とコメントしている。
●同社は、空中給油機の潜在的市場は9兆円以上と見込んでいる
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先日、韓国空軍がKC-46Aではなく、エアバス社のA330型空中給油機を選択したとご紹介しました。
A330型は既に、英国、UAE、サウジ、シンガポール、豪州で正式採用され、印と仏も検討中だそうです。一方、KC-46Aは未だ「米空軍」以外に売り手が見つからないとか・・・
固定経費契約(fixed-price contract)ですので、ボーイングが追加経費を負担します。米国防省との間では・・・
仮に日本がKC-46Aを選択したとして、追加経費の分がずっしり加重される恐れ有りですね・・・
ボーイング社の公式発表
→http://boeing.mediaroom.com/2015-07-17-Boeing-to-Recognize-Charge-for-the-KC-46-Tanker-Program-in-Second-Quarter
「韓国はA330に決定」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-01
米空軍によるKC-46A選定のゴタゴタ記録
「KC-X決定!泥沼回避可能か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25