Forbes「対中戦略なし」とKrepinevich辞任

Forbes-CSIS.jpg21日、CSISで行われた第5回「South China Sea Conference」で基調講演を行った
Forbes下院議員(シーパワー&戦力投射小委員長)は、オバマ政権のアジアリバランスの方針姿勢は評価しながらも、明確な戦略が無いと訴えました
そんな折り、「エアシーバトル」など対中国軍事戦略を種々提言し、5月に来日講演を行ったCSBAのKrepinevich理事長が、22年勤めたCSBAトップの座を来年3月に辞任すると発表しました。後任者は、2016年3月までにKrepinevich氏とCSBA理事会のメンバーで探すとのことです。
同氏は「個人的な思索と執筆にもっと専念したい」との事ですので、ますます発信に期待したいと思います
Forbes下院議員(軍事小委員長)は基調講演で
Forbes議員は、南シナ海での米海軍プレゼンスと地域同盟国等の訓練装備充実の必要性を訴え、更により戦略を明確に策定せよと主張した
●中国による南シナ海など太平洋地域での「強硬な主張」に対処するため、米国は「winning strategy」を策定し定義すべきであると、軍事問題に関する有力議員であるForbes議員は述べた
South China Sea.jpg●Forbes氏の発言は、中国が南シナ海での埋め立て地に火砲等を設置していることを米高官が認めた事も背景にある
●同議員はまた、中国の沿岸警備組織「海警」が米海軍の強襲揚陸艦のような形でその様な役割を果たすようだとの見解を示し、「海警の艦艇数は、今や米海軍より68隻少ないだけだ」と警戒感をあらわにした
Forbes氏は、対中国の米国戦略を米国民やアジアの同盟国が分からない状態にある点を強調し、「アジア太平洋リバランス」との言葉は良いが、戦略があるようには思えないし、少なくとも明確でない、と語った
●同時に同議員は「必要なwinning strategyは、強いプレゼンスで相手を抑止することであり、中国に敵対したり、中国との関係改善を追求するものである必要は無い」と訴えた
●更に「戦略が無ければ、勝利に向かっているのか、そうで無いのかさえも把握出来ない」、「勝利とは相手の負けを意味するものでは無く、地域や相手を含む両者をより良く導くものである」とも表現した
●またマケイン上院軍事委員長が予算案の文書に盛り込んだ、南シナ海周辺諸国に軍事訓練や装備を提供する基金を設ける案も紹介した。インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム等が対象である
CSISの当該イベントwebページ
→http://csis.org/event/fifth-annual-csis-south-china-sea-conference
CSBA理事長が来年3月辞任へ
20日付CSBAサイトの発表
krepinevich6.jpg●CSBAの「CEO」であり「president」であるAndrew Krepinevich博士は22年間も同職を務めたが、来年の早い時期に退任することとなった。
●Krepinevich博士の替わりを果たせる後任を探すことは容易ではないが、CSBAは広範な調査を行い、CSBAに求められている役割や立場、所属する研究者のためになる人材を求める
Krepinevich博士コメント
より多くの時間を、私が最も喜びと感じる仕事に充当したいと考え、2016年3月に「president」を退任します。その仕事とは、国防政策や戦略に思索を巡らし書くことであり、関連の議論に加わることです。
●今後数ヶ月の間、CSBA理事会の皆さんと、私の後任探しをすることを楽しみにしています
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Krepinevich氏の言葉、「多くの時間を、私が最も喜びと感じる仕事に充当したい」は、民間シンクタンクと言えどその組織経営や運営が大変が業務である事を伺わせます
研究資金の確保、スポンサーのご機嫌伺い、個人の主張と組織人としての立場の相克等々・・・の苦悩が伺えます
innovation.jpgCSBAトップを退任後のKrepinevich博士が、日本の国防政策に対し、どのような見解を述べるかが楽しみです。
でもその前に・・・日本はどうしたいのか? どのような「世界観」や「政策」や「大戦略」を日本は持つのかを説明しないといけないかも知れません。大きな視点から・・・
CSBA理事長関連の記事
「Krepinevich来日講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-27
「陸自OBがCSBA論文に便乗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12

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