次世代の制空は大型爆撃機タイプで!?

CSBAの戦闘機に関する刺激的なレポートです
Air-to-Air-Report.jpg14日、シンクタンクCSBAのJohn Stillion上席研究員が「Trends in Air-to-Air Combat: Implications for Future Air Superiority」(空対空戦闘の傾向;将来の航空優勢への示唆)と題するレポートを発表し、米空軍協会で関連講演を行っています
1965年以降の1450もの空対空での勝利(air-to-air victories)を分析し、これに将来の技術動向や作戦コンセプトを加味して、将来の戦闘航空機の設計や運用思想を検討しています
結論が極めて興味深く、もし推論が正しければ、第6世代戦闘機は将来爆撃機のような形状で、爆撃機の機体を改造したものになると導いています
レポート全文を読んだわけではありませんが、紹介文と講演記事から、その概要をご紹介します
CSBAのwebサイト紹介記事
Stillion-csba.jpg●John Stillion博士は、1965年以降の1450もの空対空での勝利データベースを用い、空対空戦闘の歴史的分析を行い、センサーや兵器や通信技術の進歩が如何に空中戦闘に影響を与えたかを吟味し、将来の戦闘航空機の設計や運用思想を検討した
●Stillion研究員の結論は、空中戦闘は根本的に変化するである。つまり変革は、伝統的に戦闘機で重視されてきた速度や機動性の重要度を減じ、逆にセンサーや兵器搭載量や航続距離を重んじるようになると導いている
●その結果、将来効果的な第6世代戦闘機は、将来爆撃機と似たような外形で、将来爆撃機の機体を改良し、又は爆撃機と同じ機体に空対空任務に最適なシステムを搭載したものになろう
●もしこの推論が正しければ、米海軍と空軍は、将来戦闘機開発と長距離攻撃&ISR機開発と一体化することができ、巨額な開発経費を大幅に削減出来る
14日の講演でStillion上席研究員は
●センサーやミサイル技術の発達により、空対空戦闘における速度の重要性は低下しつつある。
●また同様に、機体の機動性は、より正確で長射程化するミサイルを前に有効性がほとんど無くなるだろう
LRS-B4.jpg機動性や運動性を追求して機体を設計すると、ストレスに耐えられる機体にするため、ペイロードを犠牲にせざるを得ない。
●また超音速飛行は、大気と機体との摩擦で熱を発生し、赤外線を多量に発することになる
●今現在、目視距離範囲外での戦いが主流だとすれば、将来のプラットフォームの方向は、より大きなスペースに複数センサー、兵器、ネットワーク機材を搭載することになるのではないか
●大きなプラットフォームだと、エネルギー兵器の搭載もより可能になる
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非常に新鮮な視点です
個々で細かく吟味することはしませんが、非常に興味深いです
果たしてこれポートを正面から議論する「度量」が世界の空軍にあるか? そのあたりにまず注目したいと思います
航空自衛隊には、そのような度量は無いでしょうが・・・
次世代の制空を考える動き
「海空軍が共同で次期戦闘機検討へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-30
「次世代制空の米空軍チーム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-09
「2030年代の制空を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-23
「企業との協議を早期から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17
「戦闘機族のボスが語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-16-1
「なぜ米海軍は追加でFA-18が必要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-15
「35歳FA-18の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15
ちなみに、このStillion研究員は、台湾に対し「最新戦闘機や大型艦艇や大型潜水艦をねだってる場合では無い。もっと泥臭く、非正規戦を正面に中国に立ち向かえ。さもないと米国はその本気度を疑うぞ」と警告を発したレポートの共同執筆者でもあります
日本も考えるべき!
CSBA提言の台湾新軍事戦略に学ぶシリーズ
その1:総論→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
その2:各論:海軍と空軍へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
その3:各論:陸軍と新分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2
よく吟味すべき研究や提言
「ヨシハラ教授日本もA2ADを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18
「森本元防衛大臣の防衛構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05
「CSBA:陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

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