別世界の話のようですが、ドイツの話です
20日付Defense-Newsによれば、メルケル首相率いるドイツ政府は、今後5年間2019年まで、安全保障環境の変化に対応するため、国防費を6.2%増加させることを承認したようです。
イスラム過激派の活動が活発化し、ロシアがウクライナで好き放題し、更に爆撃機や戦闘機を欧州周辺で我が物顔で飛行させ始め、米国が欧州NATO諸国に国防費をアップさせろと厳しく指摘しているとは言え、西側先進国でこれだけの国防費増額が可能なのは「ドイツ連邦」だけでしょう・・・凄い!!!
女性首相に女性国防相が安全保障をリードするドイツですが、的確な経済運営を背景としたしっかりした国家運営と、迅速な安全保障施策推進に脱帽です。
また以前ご紹介しましたが、ドイツは昨年11月、軍の人材確保改善策として、給与や手当面での改善や勤務時間の緩和・柔軟性確保策を打ち出していたところです。
20日付Defense-Newsによれば
●メルケル首相率いるドイツ政府は、今後5年間2019年まで、安全保障環境の変化に対応するため、国防費を6.2%増加させることを承認した。
●コレは2019年までに追加で約9000億円増額することを意味している
●予算計画案によれば、2016年には約1600億円増額の3兆8千億円に国防予算が引き上げられ、これら増額分はドイツ連邦軍の改善や拡張、更に「NATO拡大関与」へのコミットのために用いられる
●NATOへの関与に関しては、メルケル首相が長期化を示唆しているロシアとウクライナの紛争に対応する「NATO response force」に関連する予算も含まれている
●ドイツは現在、GDPの1.2%を国防費に充てているが、NATOメンバーに推奨されている2%以下の状態である
●今回ドイツが国防費の増額に踏み切れた背景には、2014年ドイツが40年ぶりに均衡財政(first balanced budget)を達成でき、予算に余裕が出来たことがある
●また、最近欧州のパリやコペンハーゲンで発生したテロ事件への対応を求める、世論の高まりも背景にある。このため、国防省だけでなく、テロ対策を直接担当する警察や治安機関への予算も増額される
●ドイツ内務省のMaiziere大臣は「警察や治安機関は、小グループのテロや過激な個人活動家、また最新兵器を保持した熟練の活動家にも適応して対処しなければならない。より良い装備が必要である」と語った
//////////////////////////////////////////////
ちなみにドイツ連邦軍の人材確保策とは
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-09-1
●今後4年間のボーナス増額
●特殊技能を持つ専門職員に月額5万円強の手当支給、危険な仕事や困難な仕事への給与の増加
●1週間の勤務時間を制限する規定の設定(過剰勤務の抑制)、パートタイム勤務(短時間勤務)の利用可能対象者の大幅増加・・等々
安全保障政策に関しても
●2006年に発表以来途絶えている国防白書を編さんし、ドイツが直面している安全保障の課題や国防の優先事項を示す
/////////////////////////////////////////////
先日の来日時の発言等を見ると、極東情勢にはいささか頼りない面があるような気がしますが、本当に大したもんだと思います
以下に示す、2011年10月時点でのドイツ軍削減計画が、どこまで進んでいるのかが気になるところですが・・・
2011年にドイツがまとめていた軍削減計画
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30
国防相案(主要な装備品調達予定数の削減)
●177機→140機: 戦闘機Eurofighter
●6機→4機: 無人偵察機グローバルホークRQ-4
●22機→16機: 他の無人機
●53機→40機: 輸送機A400
●120機→80機: 輸送・救難NH-90 heli
●410両→350両: 戦車Puma
●80機→40機: 戦闘ヘリTiger