17日Robert Work国防副長官は、「電子戦計画検討会:electronic warfare programs council」を立ち上げ、ケンドール国防次官とWinnefeld統合参謀副議長とともに検討委員長として活動すると発表しました
同検討会は、2年前に国防科学諮問委員会(Defense Science Board)が「アフガン等での不正規戦に集中しすぎ、国防省は電子戦をしばらく無視してきた」と指摘したことを受けて設置されたもので、ケンドール次官は「この指摘を挽回したい」と語っています
18日付米空軍協会web記事によれば
●17日、ワシントンDCで開催されたシンポジウム(McAleese Associates/Credit Suisse symposium)でWork副長官は、国防省は長く電子戦EWを「enabler」と見なしてきたが、敵はこれらを「重要な攻撃&防御兵器の一部と見なしている」と語った
●更に副長官は「検討会は国防省全体の電子戦投資を吟味し、どのように投資ポートフォロオを変更すべきか、国防長官に戦略的提言を行う」と述べた
●同じ会場でWinnefeld副議長は、自己防御用の電子戦PODを搭載した無人機が敵に防御された空域で活動し、スタンドオフ妨害に従事するイメージを描いて同検討会の検討方向を紹介した
ケンドール次官は同シンポジウムで
●我々には国防省全体を見渡した取り組みが求められている。シナジー効果を求め、また正しい技術投資を模索し、情報が円滑に共有される電子戦計画の推進を図る必要がある
●電子戦検討会を立ち上げ、国防省内の電子戦事業の調和を図るが、特定の軍種に主導させるわけではないし、それが正しいやり方とは思わない
●それぞれの軍種には、それぞれのアセットが必要であり、特定の軍種が検討を主導する「executive agent」になる必要は無い
●全ての軍種が特徴のある分野で貢献し、また任務をシェアしなければならない。検討会では、国防省全体で如何に効率的であるべきかを議論する
●仮にある時点で、特定軍種が主導権をとった方が良いと判断出来る段階に至ったら、そうするかも知れないが。
●いずれにしても、全ての軍種が「EA-6B Prowler」や「EF-18G Growler」の役割のいくらかを担っている(担うべきである)
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検討会立ち上げ文書には「focus area will include EW strategy, acquisition, operational support, and security」と記されているようです
「2年前」に指摘された「過ち」を素直に認め、遅れ気味ながら「挽回」しようとの姿勢が立派です!
電子戦に関する「過ち」を指摘することもなく、指摘されることも無く、なんとなく皆が認識していながら「放置プレイ」し、戦闘機の機数だけに固執する組織ではいけません
抑止力強化の費用対効果・効率性の観点からすれば、空中戦に強い国産ステルス「F-3」戦闘機を目指して巨額投資するより、電子戦能力を強化する方がより効果的なのでは・・・と思いますが
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