12日付Defense-Newsは、最近になって米海軍が、一端調達を終了したFA-18の追加調達(2~3個飛行隊:24~36機)を模索し始めた理由を解説しています。
F-35C開発の遅れ、対IS関連の任務所用の増加、旧FA-18の引退開始、旧FA-18の想定以上の摩耗と修理所用増、旧FA-18の延命改修所用、最新型FA-18(E及びF型)への負担増と整備増・・等々の複合要因が相乗効果を生みだし、追加調達を考えるに至っているとの説明です
記事は最後に、米海軍がF-35Cの調達を嫌っているとか、「FA-18対F-35C」と言った評論家の分析を否定する米海軍幹部のコメントも紹介しています。
真偽のほどは、次第に明らかになるのでしょう次第に。他の状況証拠からは、2020年以降まで待つ必要があるF-35を避けているような気がしますが・・・
12日付Defense-Newsによれば
●米海軍のFA-18調達は2013年度予算が最後で、EA-18Gも2014年で最後のはずだった。最終的に2015年度も議会審議の過程でFA-18が復活したが、それも最後との計画だった
●しかし最近になって、海軍トップのグリーナート大将等が「FA-18の追加調達(2~3個飛行隊:24~36機)」の必要性に言及し始めている。理由の概要は以下の通りである
●F-35の開発遅延により、F-35C型の運用開始は2018年にまで遅れており、本格生産の時期も考慮すると、早くとも2020年以降でないと戦力として期待できない
●現在約600機保有する旧型FA-18Cは、340機のF-35Cが後継となる予定で、機体の引退も始まる。同機はアフガンやイラクでの酷使で損耗が激しく、整備予算の削減もあって65~100機がていてい定期整備待ちの状況
●旧FA-18の定期整備は、旧FA-18の延命改修と並行して行われているが、機体損耗の激しさから定期整備期間が伸びていることもあり、修理補給所の能力限界を超えている
●対IS作戦所用により、アフガン作戦減少で余裕が出ると想定していたFA-18への任務量が減らず、最新型FA-18(E及びF型)への負担増と整備増が生じている。
●旧FA-18の延命改修(飛行時間6千時間増)が行われていたが、150機に対しては1万時間増の改修が実施中も、任務増と整備工場の容量の関係で機体維持が限界に
米海軍航空作戦計画責任者は
●Mike Manazir少将は「専門家の中には、米海軍がFA-18の継続購入を主張している点を捕らえ、米海軍はF-35に冷淡だと主張する者がいるが、それは誤りだ」、「何かを購入しないと言っていない。2024年の海軍航空戦力を考えれば、F-35CとFA-18の両方がそろっていなければ戦力にならない」と語った
●更に「米海軍FA-18のみを欲しているのではない。FA-18だけでは勝てないのだ。F-35飛行隊も必要だ」、「誤って流布されているFA-18対F-35Cの構図を払拭したい。両機種が融合して戦力発揮する必要がある」と訴えた
●そして「グリーナート大将が述べた24~36機というのは、FA-18飛行隊2~3個分の機数を指しており、F-35の遅れ、旧型FA-18の損耗と整備作業の遅れ、最新FA-18への負担増と任務増を秘計に、リスクを減らすために必要なき機数である」と説明した
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へそ曲がりのまんぐーすは、F-35計画の惨状から米海軍がF-35から距離を置きたがるのは自然だと思いますし、米海軍内部の声も聞こえてきますので、引き続き「FA-18対F-35C」の構図を念頭にフォローしたいと思います
それにしても、対ISはいろいろな方面に、じわじわと大きな影響を与えつつあります。
関連の過去記事
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「35歳FA-18の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15
「母機よりも搭載装備を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-11