「・・についてあなたが知らない5つのこと」シリーズで、本日は「Med-evacs」(Medical Evacuation:負傷者の緊急救助空輸)を取り上げます
実戦を経験していない自衛隊がその重要性を理解できず、「戦闘機にだけ投資」しているために大きく遅れている分野の一つです
●第1に、最初のヘリコプターによる「Med-evacs」はベトナム戦争ではなく、第2次大戦中のビルマ戦線でのことであった。1944年、航空機が墜落して敵後方に着地した英国中佐を、輸送用のシコルスキーヘリが救助したのが最初である
●第2に、朝鮮戦争では初めて「Med-evacs」専用のベル製のヘリを装備した部隊が編成され、負傷者の致死率を大幅に低下させた。当時は当該機種は内部容量が小さく、機体側面の外部に患者を縛り付け、吹きさらしで空輸していた。
それでも、WW2時には負傷した100名のうち4.5名が死亡する致死率だったが、朝鮮戦争では100名のうち2.5名にまで減少させることが出来た
●第3に、ベトナム戦争を含む1968年までに負傷者の致死率は更に低下し、負傷者100名のうち1名のみが死亡まで低下した。カリフォルニア州で発生した交通事故負傷者の致死率よりも低くなった。この結果を受け、ハイウェイ救急部隊にヘリが導入されることとなった
●第4に、現在米空軍が使用するHH-60Mは、もっとも進んだ救難救助ヘリである。搬送中の機内で可能な処置も生物学的治療や酸素吸入など拡大している。
●第5に、イラクやアフガンでは簡易仕掛け爆弾(IED)による負傷が多発したが、破片が内臓を傷つけて腹内大量出血を引き起こすことが死亡につながる大きな原因だった。
これに対する救助ヘリ内で可能な手当として、注射方式で腹内に注入した合成樹脂(?)で内臓全体を覆って止血する手法が広がりつつある。
あなたが知らないシリーズ
「B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「AK-47ライフル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-28
「原子力潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07-1