4日、米国防省の国際協力機関であるDSCA(Defense Security Cooperation Agency)が、欧州NATOに米国製兵器の「共同購入」「共有」を認める「2年間の試行」を開始すると発表しました
「lead-nation procurements」の名称で紹介されるテストで、共同購入の先導役となる国に、何をどのように売却するかを「case-by-case」で検討することから開始するようです
欧州NATO諸国の国防費は、良くて現状維持、恐らく減少する中で、米国製兵器のシェアを少しでも確保しようとの懸命の取り組みです
4日付Defense-News記事によれば
●4日、米国防省とDSCAは、初めてNATO諸国が共同で米国製装備を購入し、共有して使用する事を許可する方向に動きだした
●DSCA長官のRixey海軍中将は、1月30日署名の文書で「過去に前例のない」、「2カ国以上のNATO加盟国が米国製装備をプールし」、「NATO諸国は決められた予算の購買力を最大化するため、コストシェアを追求している」と説明している
●このようなNATOの変化するニーズに対応するため、DSCAは米国防省と協力し、米国製装備の「lead nation procurements」を2年計画でテストすることを決定した
●NATOの同盟国はこれまでも協力して装備品開発や調達を行ってきており、「これを発展させ、共同購入の主導国(lead country)を通じ、柔軟な装備品の加盟国間の融通を追求する」とDSCAは説明している
●またDSCAは「2年間のテスト期間に、(装備品の種類や規模により)case-by-caseで、対象NATO関係機関や対象国を検討することになろう」としている
●DSCAは本制度の試行で、「lead nation」又は「NATO機関」が単独の購入者として経費面での責任を持ち、適切に装備品を使用すると許可された国とのみ共有や共同しようが可能とする考えを持っている
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米国防省は、技術の流出や装備品の横流しの恐れと、武器市場の維持・開拓という2つの課題に対応しようとしています。
既にハンガリー配備の3機のC-17輸送機が12カ国で共同使用されており、空中給油機でも計画(機種選定は今後)が進んでいると思いますが、欧州の軍需産業に負けないよう、米国も制度を整理し市場への食い込みを推進するのでしょうか?
いずれにしても、ウクライナにおけるロシアの横暴にもかかわらず、なかなか国防費を回復できない欧州NATO諸国等への対応に、米国も必至に知恵だしです
欧州と米国関連の記事
「欧州NATOが共同で空中給油機保有へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28
「米国と欧州がISRや空輸で協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02
「欧州米空軍の苦悩とC-17共同運行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-24-1