5日、米国防省の高等研究計画庁(DARPA)が、需要が急増する小型衛星をF-15戦闘機から軌道に投入する打上装置の試験を、今年末から開始すると発表しました
低高度軌道(LEO)に、100ポンド以下(約48kg以下)の衛星を、24時間以内に、1回1億円程度以下で投入することをターゲットに、第1段階の基礎的な設計を終了し、第2段階の試験発射に向かうとのことです
DARPAは、高機能・多機能化する小型衛星の打上需要が、官民を問わず急増しているからと研究の背景を説明していますが、国防省としては、ますます脆弱性を増す宇宙アセットのバックアップを緊急投入できる手段を確保することも至上命題なのでしょう。極めて重要な研究だと思います
5日付 DARPA発表によれば
●ALASA計画(Airborne Launch Assist Space Access)は、小型衛星を経済的に短期間の準備で軌道へ投入する手段を開発する計画である。同計画は、Lockheed Martinに委託した第一フェーズの設計を終了し、12回の軌道投入発射試験を伴う第2フェーズをボーイングと契約した
●低高度軌道(LEO)に、100ポンド以下(約45kg以下)の衛星を、24時間以内に、1回1億円程度以下で投入を目標に、革新的な衛星打ち上げを飛行中の航空機から行うことで、衛星等を希望の軌道に投入可能とするものである
●現在、国防省や政府機関は、限られた衛星打ち上げ機会をめぐって何年も前から準備をしている。この鈍重で経費のかかる手法が、重要な宇宙アセット投入の足かせとなってきた
●また、F-15から発射できるようになれば、地上の発射施設の維持に関わる人員や経費が削減できることも大きなメリットである
●DARPAの担当部長は「一つのロケットに複数の衛星を同乗させる従来の手法から、衛星運用者の希望する場所と時期に軌道投入が可能になるような手法を確立したい」と語っている
●第2フェーズの技術面での山は、燃料と酸化剤をあらかじめ混合した「単元推進薬」が使用できるロケットエンジンの開発である。この実現がエンジンの小型高性能化や価格低下のカギとなる
●既に第1フェーズ段階で3つの革新が達成可能となっている。打ち上げ計画迅速化に資する計画システムの開発、従来の地上テレメトリー施設ではなく宇宙施設でALASAモニターが可能に、更に緊急時の自動飛行中断システムの開発の3つである
●「単元推進薬」ロケットエンジンの試験が成功したなら、ALASAプロトタイプ試験のため、12回の軌道打ち上げが計画されている。まず本年末に、軌道投入でないフライト試験が行われる計画である
●その後、2016年の前半に1回目の軌道投入試験発射が行われ、結果を踏まえ、更に11回までの発射試験が2016年夏にかけて行われる計画である
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「単元推進薬」ロケットエンジンの開発が、当面のポイントのようです。
F-15の胴体に搭載されたイメージ写真によれば、かなり小さなロケットですから、技術的にも容易ではないのでしょう
20年以上前、F-15から衛星破壊兵器ASATを発射する構想があったような気がします。確か、トムクランシーの小説で読んだ覚えが・・・。
その蓄積が生きているのかも・・です。
100ポンド(約45kg)以下の衛星が、どの程度の能力を持つのか、どの程度の需要があるのか知らないのですが、「官民両方でgrowing markets」らしいです
日本も協力できればいいのになぁ・・・と思います。日本は脆弱なんだから・・・