4日、次期国防長官候補者であるAshton Carter氏が上院軍事委員会のヒアリングに臨みましたが、同委員会の委員長であるマケイン上院議員は、ホワイトハウスはカーター新長官を無視するだろうと語りました。
この発言は、ヒアリングの休憩時間に記者団に向けて行ったものであり、オバマ政権が外交・安全保障を側近数名だけで決定している様子を痛烈に批判したものです。
カーター氏はヒアリングで、「情勢悪化時のアフガンへの増派」、「ウクライナへの武器援助」、「A-10全廃の再考」、「ヨルダンへの迅速な支援」を検討する考えを持っていると語り、「ホワイトハウスへの率直な助言」を誓いましたが、マケイン委員長にここまで言われると、かなり可哀そうです
4日付Defense-News記事によれば
●カーター氏は国防長官に承認されたらアフガン政策やウクライナ政策を見直す可能性も示唆したが、ホワイトハウスは単純に無視するだろうとマケイン上院議員は語った
●マケイン委員長は「カーター氏には(安全保障政策に関するホワイトハウスへの)影響力が全くないだろう」と言い切った
●アフガン政策もウクライナ政策も、両方ともホワイトハウスとカーター氏の考え方が異なる課題であり、カーター氏がオバマ政権の考え方を変更できるとは考えにくいとマケイン氏は見ている
●そして「すべての(外交や安全保障に関する)意思決定は、ホワイトハウスのレベルの3~4人で決定されている」とも表現し、ライス安全保障担当補佐官やWest Wingのスタッフに言及した
●ヘーゲル長官はホワイトハウスの安全保障スタッフと親交がなかったが、カーター氏は何人ものスタッフと関係を持っている。その証拠に昨年12月、カーター氏が次期国防長官にノミネートされた際、ライス安全保障担当補佐官と「ハグ」する姿が見受けられた
●この様なカーター氏と大統領府との親交を記者団から指摘されても、マケイン議員は「そんなことは関係ない。ホワイトハウスによる細部への介入が続くだけだ」と即答した
●ヒアリングの冒頭でマケイン委員長はカーター氏に、「最近の国防長官3名はみんな、過度に中央集権化された外交・安全保障政策に困惑してきた。あなたも影響力を奪われることになると恐れている」と語りかけている
●一方のカーター氏はヒアリングで「指揮系統の秩序にうるさい男になると誓う」と述べ、「大統領が率直なプロ視点からの軍事的助言を得られるようにする。これは法に定められている職務を遂行するとの意味だけではなく、より前向きに、米軍のリーダー達が広範な経験や専門知識を持ち合わせているからである」と対応した
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2008年の大統領選挙でオバマ氏に敗れたマケイン議員ですから、かなり尖がった表現ぶりになっています。でも結局のところ、実態はそうなんだろうと思います
カーター氏に関しては好意的な見方がほとんどですが、ホワイトハウスの「micromanagement好き」はどうしようもないのでしょう
でも、国防省内の仕切については大いに期待いたしましょう。組織防衛の排除や、官僚制の極致に達した業務要領の改善に辣腕を振るっていただきましょう
国防長官とホワイトハウスの関係に言及
「カーター氏指名への各方面評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-03
「ヘーゲル長官が更迭される」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-25