更に中国がステルス対処のUHFレーダー展示

JY-26.jpg22日付Defense-Newsによれば、11月16日まで中国のZhuhaiで開催されていた「China Airshow」に、ステルス機を探知可能と宣伝するUHF周波数帯の移動式レーダーが出品されていたとのこと。
中国英字紙が「韓国に展開するF-22を探知した」と報じた、中国ECRIEE社(East China Research Institute of Electronic Engineering)製造の「JY-26」レーダーについてご紹介します
10月には本ブログで、別の中国企業が製造したステルス機探知用の受動レーダー(passive-detection radar)をご紹介しましたが、今度はUHF周波数帯を用いたステルス対処レーダーが出現しました。
西側では、日本が導入を決定した早期警戒機E-2DがUHF周波数帯のレーダーを搭載し、高度な情報処理技術でステルス機が見えるのでは、といわれています
22日付Defense-Newsによれば
●珠海航空ショーでは、中国によるA2AD推進を証明する多くの装備が展示披露されたが、その一つがステルス機探知能力を持つと宣伝していた「Skywatch-U」との愛称を持つ「JY-26」3次元レーダーである。
JY-26 2.jpg●正に中国が兼ねてから望んでいた、B-2やF-22やF-35を探知できる移動式のUHF周波数帯(250-350MHz)を使用したレーダーで、会場で配布の小冊子からは探知距離は不明ながら、「戦術ミサイルも探知でき」、「500目標を追尾可能」で「対ECM能力も備えたAESAレーダー」らしい
●今年の珠海航空ショーに先立ち、2011年に中国のネット上でより大型のJY-26イメージ画像が公開されており、その際はレーダー空中線部の特徴であるバブル型突起物の数が、倍程度に描かれていた。
●これを捕らえ、今回展示されたのはJY-26の低価格版か試作品ではないかとの見方もあるが、ソフトの改良でより少ないバブル型突起物でも探知能力が確保できるようになったのではと見る専門家もいる
11月10日付の中国英字紙「Global Times:環球時報」(人民日報の英語版の位置づけ)は、山東省に展開設置されたJY-26レーダーが、韓国に展開する米空軍F-22を捕らえたと報じている
●米国の航空専門家は「いずれにしても、JY-26が米国等の脅威となることは間違いなく、中国の電子技術レベルが米国と同レベルにあることを示している」と分析している
米国社製レーダーのコピー??
Lockheed 3DELRR.jpg●JY-26レーダーの特徴である空中線部表面の「バブル:半球型の突起物」が多数並んでいる形状は、ロッキード社が米空軍用の地上レーダー(:←写真左:3DELRR)機種選定に提案したレーダーにも見られた特徴である(注:この機種選定ではレイセオンが勝者。まだもめているが)
●2009年4月にロッキード社等への中国発のサイバー攻撃が明らかになったが、ロッキードの技術が流失したのではと懸念する専門家もいる。
●一方で、ロッキード提案のレーダーが異なる周波数帯(G-band)を使用するモノであり、また単に「円偏波:circular polarization」を活用する形状を技術的に追求した結果だとみる専門家もいる
●JY-26はどこの国に輸出される可能性があるだろうか。ロシア製ステルス機の導入を考えているインドと対峙するパキスタン、F-35を輸入するイスラエルの攻撃を懸念するイランなどなど、ステルス機を脅威と考える国は多く存在するはずだ
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UHF周波数帯のレーダーは、その物理的特性から分解能力に劣っていると考えられます。
早期警戒機E-2Dは、複数の周波数を巧みに組み合わせ、かつ高度な情報処理技術でこの課題に対処しているらしいですが・・・
DWL002-1.jpg別の中国企業が製造したステルス機探知用の受動レーダー(passive-detection radar)といい、まだ発展途上の技術でしょうが、着実に進歩を続ける中国の技術恐るべしです
同時に、戦闘機にしか実質関心がない、つまり「亡国のF-35」を導入するため、対ステルス技術への注目&言及を避け続けてきた防衛省・自衛隊指導層の責任は重大です
「中国にステルス対処の受動レーダー出現」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-05
関連の過去記事
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「ステルスVS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09

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