19日、米議会から委託を受けた米中経済安保評議会(USCC:US China Economic and Security Review Commission)が、米中関係を考える上で必要な経済、貿易、外交、安全保障面等での動きを2014年版年次報告書にまとめて発表した模様です
19日付Defense-Newsは、特に中国の軍事力増強に関する部分を取り上げ、核兵器の増強や宇宙戦能力の向上を中心に紹介しています。
核兵器の増強に関するところでは、細部は不明ながら「特に日本への拡大核抑止が弱体化する可能性がある」と警告しています
19日付Defense-Newsによれば
●報告書は、中国の核兵器と運搬ミサイルの発展により、今後10年以内に西太平洋地域の全ての米軍基地や関連施設が脅威を受けることになる、と記している
●今後5年間で中国は、多角的に核戦力を強化し、その拡大と近代化により多様な軍事及び外交オプションを手にし、米国の拡大核抑止を弱め、特に日本に関して影響を与える可能性がある
●また今後5~10年の間に、中国は、米国が安全保障用に使用するあらゆる軌道の衛星を危機に陥れる能力を獲得する、と指摘している
●そして中国は、その宇宙戦能力で抑止力を高め、米国やその同盟国が中国に対して軍事的手出しをしないよう追い込むように振る舞うだろう
特に中国の核戦力に関し
●今後3~5年で、中国の核戦力はより威力を増すだろう。移動式の核ミサイルや、12発のMIRV大陸間弾道弾を装備した5隻の原子力戦略潜水艦が配備されるからだ
●2013年時点では、中国は50~75発のICBMしか保有していないが、今後15年で100発以上になるだろう。専門家の中には、既に大量の核兵器を保有しているが隠しているのだと指摘する者もいるが。
●海中発射型では、2007年から就航を開始した3隻のJin級SSBNが存在するが、2020年までには更に2隻がこれに加わる。Jin級SSBNには、射程4600nm(8200km)のSLBMであるJL-2が12発搭載される
●JL-2は配備完了しているとも言われ、中国近海から発射すればアラスカが射程内で、日本南部の海域から発射すればアラスカとハワイが入る。ハワイ西部からだと米大陸西部まで届き、ハワイ東方からだと米全土が射程内になる
●中国の移動式ICBMも懸念材料だ。2006年に配備されたDF-31は、2007年には改良されDF-31Aとなった。射程は少なくとも6900nm(12500km)で、全米の大部分を射程内に収めている
●また、2015年に配備が予期される新型のDF-41は、10個の多弾頭ICBMで射程が7456nm(13400km)あり、全米を射程に収めることができる
●DF-31AのMIRV化と合わせ、中国は米国や同盟国のBMD能力を飽和させる能力獲得を図っている
●10月13日付の中国紙「Global Times:環球時報」(人民日報の英語版の位置づけ)は、Los AngelesをJL-2のMIRV大陸間弾道弾で攻撃した場合の被害想定を掲載し、半径800nm(1400km)内の生存確率はゼロだと報じ、「十分な抑止力になる」と分析している
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「現在50~75発のICBM保有が、今後15年で100発以上に」とはペースが遅いような気もしますが、それで十分なんでしょう。
5隻のJin級SSBNに、射程4600nm(8200km)のSLBMを12発搭載(MIRV)搭載でも十分なんでしょう。
米軍の核戦力を巡る「深刻」な内部崩壊状況を見るまでもなく、核戦力運用部隊の維持は、途方もなく困難な任務なのかもしれません・・・
「内部崩壊する米軍核戦力部隊」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18