10日、オバマ大統領が北京訪問を開始したその日に、米国務省はベトナムへの軍事装備輸出規制を実質緩和するとの新方針を発表しました。
正式には、米国務省が「ITAR:International Traffic in Arms Regulations」の修正を発表したとのこと。オバマ政権らしく、ベトナム国内の「人権問題」を引き続き懸念材料として、「case-by-case」で分野を絞って許可していくようです
10日付Defense-News記事によれば
●オバマ大統領が1週間に及ぶアジアツアーを開始した日に、米国務省は「lethal defense items」のベトナムへの輸出を許可する公文書の変更を発表した
●本件に関しては、10月初頭にベトナム外務相がワシントンDCで、Susan Rice安全保障担当補佐官やケリー国務長官と会談した際に発表されていた
●しかし、正式な「ITAR」の変更は、11月10日まで待たなければならなかった
●変更通知には「米国の外交政策や国家安全保障の観点や、ベトナムにおける人権問題に関する懸念から、ベトナムへの武器や関連サービスの提供は、海洋安全保障や状況認識強化への支援に関するモノを、case-by-caseを基本として許可していくこととする」と記されている
●人権問題について言えば、ベトナム政府は市民に対する国際的な人権規範尊重において好ましくない状態にある
●2013年の米国務省による年次報告書によれば、ベトナムは「市民の人権を制限する厳しい政府と位置づけられ、特に政権交代に関する市民の権利への制約が大きい」と評価されている
●そのような事情はあるが、専門家は、ベトナムが海面監視のためのP-3対戦哨戒機に興味があるのではないかと見ている。なお、米国は新型のP-8を導入するに伴い、現有のP-3を引退させ余剰が出る可能性がある
●またベトナムは、P-3とあわせ、関連の監視用装備にも関心を示している模様。2013年にはケリー国務長官が、ベトナムに武装のない5隻の高速監視艇を提供することで合意している
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先日、ヘーゲル長官がオバマ政権の信頼を失っており、更迭されるだろうとの「噂」報道をご紹介した際、「ライスの方が力があるんだ・・」とのコメントを頂きました。
がちがちの「人権主義者」と言われるSusan Rice女史が本領発揮でしょうか? 国防省の立場からすれば、南シナ海で中国と果敢に対峙するベトナムに、どんどん必要なモノを提供したいのでしょうが。
「百年の圧政より、一夜の無政府状態の方が恐ろしい」とはアラブのことわざですが、ミャンマーにしろベトナムにしろ、早く味方にしてしまえばいいのに、と思います
ベトナム関連の過去記事
「ベトナムへ武器輸出解禁か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-28
「50年ぶり米軍トップが訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-16
「中国と関係改善の兆し?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28