17日、米空軍戦闘コマンド(ACC)のMike Hostage司令官は報道陣に対し、Global Hawkの運用に全力を尽くすが、軍事面からは最適なオプションではないと述べ、U-2を強制的退役に追い込んだ政治指導に精一杯の不満を表明しました。
このACC司令官発言と同日、調達担当のFrank Kendall国防次官は軍需産業関係者に「Global Hawkは、その維持費削減に成功した結果、予算を取り戻すことができた。是非覚えておいて下さい」と満足げに報告しています
21日付Defense-News記事によれば
●米空軍は2015年度予算案立案の過程で、Global Hawk(Block 30)を削減して汎用性の高いU-2を継続的に運用する方針であったが、米国防省高官はGlobal Hawkの維持費削減が進んだことを理由にU-2削減を支持した
●17日、Kendall国防次官は軍需産業関係者に「Global Hawkは、その維持費削減に成功した。また、数十年運用して老朽化しているU-2を引退させる必要もある」と語っている
●しかし米空軍の作戦運用者達は、Global HawkがU-2レベルの能力を保有していないことを問題視しており、国防省高官の判断により前線部隊が被害を被ることになると考えている
●17日、Hostage司令官は報道陣に対し、「米空軍はGlobal Hawkが(U-2の代わりに)機能するよう取り組む。全力を尽くすが、最適な軍事的オプションではない」と語った
●米空軍は、U-2搭載のセンサーやカメラをGlobal Hawkに移設搭載するため、約500億円の経費を必要とするが、「U-2の装備をGlobal Hawkに移管搭載しても、U-2の9割の能力しかGlobal Hawkは発揮できない。また、移設には8年間を必要とする」とHostage司令官は訴えた。8年間も犠牲にして、9割の能力しか獲得出来ない事を強調した。
●米空軍は33機のU-2偵察機を保有しているが、2015年から引退を開始することになる。2001年に運用を開始したGlobal Hawkは、U-2を補完する為に生産を開始した。しかし方針が変わり、まだU-2は長期間運用可能だったのに、政治が介入して引退に追い込まれる。
●Hostage司令官は「政治が介入し、U-2はだめでGlobal Hawkを買えと言う。そして追加の予算もないと言う」、「私には、どうやってGlobal Hawk購入・維持経費を確保するのかとの課題が残された。予算が増えないのにGlobal Hawkを買えと言われ、U-2を犠牲にする選択肢しか残されていなかった」と表現した
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////
このDefense-News記事は米空軍側の立場で書かれていますが、国防省高官サイドの言い分が不明なため、どちらが良いのか判りません。
U-2を支持する声は在韓米軍司令官からも挙がっており、単一のセンサーしか搭載出来ないGlobal Hawkに比べ、複数のセンサーを状況により切り替えて柔軟に対応できるU-2が使いやすいと便利な点が指摘されていました
U-2関連の記事
「在韓米軍トップ:U-2が良い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-26
「U-2はあと40年活躍?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-16
「U-2が引退できない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-22-1
2012年時点の記事では
(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-16)
●最近U-2の高々度用装備を統合参謀本部要求で新型に更新したばかりである
●U-2は搭載可能容量が大きく、Block 30よりも優れたセンサーを搭載しているほか、運用コストも安い。
●また、U-2は電子光学及び赤外線捜索に優れ、データ容量も送信容量もBlock 30より優れている。U-2の光学カメラも維持する
間もなく退役することが決まったHostage大将ですが、もう2、3回、大いに吠えて頂きたいものです。期待してます!!!