5日付米海軍協会web記事は、8月末に中国空母「遼寧:Liaoning」艦載機J-15の事故で2名の操縦者が死亡したとの報道を紹介しつつ、一方で中国軍による空母運用習熟が、米海軍のそれより遥かに急ピッチだと報じています
また中国空母のJ-15操縦者は、ブラジル海軍操縦者から空母での運用を学んでいるとも紹介しています。
5日付米海軍協会web記事によれば
●8月27日付中国国営メディアは、人目を引かない短い記事で「試験飛行の最中に、2名の空母艦載機J-15操縦者の命が失われた」と伝え、空母遼寧テストパイロットについて紹介していた
●当該中国報道は、事故や操縦者について詳細には報道していないが、5日付JDWは「少なくとも艦載機2機が失われた模様」と種々の情報を総合して報じている
●米国の海軍運用の専門家は、「事故自体は決して驚きではない。空母での航空機運用は極めて危険だからだ」とコメントしている
●空母遼寧は、中国国産空母及び空母攻撃群建造に向けての技術デモの一環として、中国がソ連技術をかなり導入して進めている取り組みである
●艦載機のJ-15もロシアに無断でSu-33をコピーしたものだが、中国はブラジル海軍操縦者から空母での航空機運用を学んでいると言われている。なおブラジルは、1960年代から仏から譲る受けた艦艇での航空機運用経験がある
●中国の空母運用学習はまだ途上だが、その学習速度は米海軍より早く、その過程での犠牲者は少ないと言われている。
●米海軍は長年の空母運用の歴史の中で、数千の航空機と人命を失っている。記録によれば、1949年から1988年までの間だけで「12000機の航空機と8500名の搭乗員」を失っている。
●2013年、米大西洋艦隊飛行司令官だったTed Branch中将は「彼らは米海軍の教訓を学んで生かし、より迅速に空母運用に習熟しつつある」と講演で語っている
●また今回の中国艦載機の事故に関わらず、空母搭乗員は中国国内で尊敬の念を持って扱われており、中国内で人気が高い
●JDWによれば、空母遼寧は最近4ヶ月のドック修理を終え、飛行試験を含む運行試験を再開する。
////////////////////////////////////////////
中国軍人はなかなかやるようです。
空母自体は誘導兵器の格好の餌食ですが、空母航空部隊の複雑で危険な運用を迅速に習熟できる能力があれば、弾道・巡航ミサイルや電子戦やサイバーや宇宙兵器や特殊部隊を組み合わせ、旧思考に縛られた西側軍を一蹴する軍の育成に成功するかもしれません
中国空母関連の過去記事
「映像:空母遼寧J-15離着陸&米空母10大事故」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-29
「空母遼寧が中国海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-08
「論争:中国空母は脅威か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-28
「空母はまだ有効なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-08-1
「中国海軍の何を恐れる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-08
米海軍空母の話題
「空母フォード級を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「空母カタパルトの革命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10