やっぱり、UCLASS要求レベル抑制は組織防衛

UCLASS.jpg31日付米海軍協会WEB記事は、空母艦載無人偵察攻撃機UCLASSの要求性能が2012年末頃に急変し、それまでのA2AD突破力を備えた攻撃機から、ステルス性も程々のISR&軽攻撃機レベルに格下げされた原因が、FA-18の後継になる有人機への影響を恐れた「海軍航空族」の画策だと報じています

現在、米海軍が企業に提示寸前だった「ISR&軽攻撃機レベル」の提案要求書は、国防省等からの反対で「見直し」段階にありますが、米海軍協会が複数の関係者の証言として「見え見えの組織防衛」を紹介しています。

31日付米海軍協会WEB記事によれば
FA-XX Navy Boeing.jpg●米海軍の作成したUCLASSの提案要求コンセプトは、米海軍の次期有人機計画を保護するために格下げされた。複数の関係者の証言から米海軍協会は確信した
●特にUCLASSの当初構想であったステスル機で突破力のある機体構想が、軽装備のISR機にされたのは、FA-18の後継機となるFA-XXを守るための措置であったのだ

軍需産業、国防省、そして一部の海軍関係者は口をそろえ、「米空母へ無人機搭載する事への組織文化的&官僚組織的な抵抗」が原因だと訴えた
●米海軍内にも対立はあったようだ。有人機派と無人機への任務シフト派の対立である。しかし無人機の役割を制限し、FA-18後継機を守る一派が海軍のUCLASS要求を押し切った

背景には予算の制約も
●米海軍航空部隊には3つの大きな導入計画がある。F-35とUCLASSとFA-18後継のFA-XXである。米海軍はFA-XXとUCLASSの相関関係を否定し、別々に検討されていると主張するが、両者はトレードオフの関係にある。(まんぐーす注:F-35Cが微妙な時期にあるため調達機数削減に言及できない事が背景)

x-47b-folded-wings.jpg●米海軍内の「組織文化的&官僚組織的な抵抗」のほかに、この予算的制約もUCLASS要求値格下げの原因ではある。米海軍の担当少将も「初の空母艦載無人機でもあり、高い要求値を設定して開発の遅延や価格高騰を招くリスクを避けるバランス感覚も必要だ」と説明している。

●更に「適切な価格でバランスの取れた必要な能力を提供し、数十年にわたって維持していく事への考慮」の必要性を主張しているが、これは国防省も強調している適切な配慮ではある

格下げUCLASS賛成派と反対派の構図

格下げUCLASS賛成派には
●米海軍航空戦力構想作成部署(N98)や情報部署(N2とN6)
統合参謀本部副議長James Winnefeld海軍大将(海軍パイロット)
米海軍省の研究開発担当Sean Stackley次官補

格下げ反対派には
●Bob Work国防副長官(CSBA時代から高性能UCLASSを要求)
●メイバス海軍長官
●Christine Wormuth政策担当国防次官
●Michael Vickers情報担当国防次官
●Jamie Morin国防省コスト計画評価部長
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反対派には、有力議員であるRandy Forbes下院軍事小委員会委員長等も含まれています。

開発に伴うリスク管理や経費管理は大前提ですが、「格下げ反対派」によるUCLASS提案要求書の見直しに大いに期待したいところです。

おにぎりマングース.jpg米空軍が先日発表した「30年戦略」や退役直前パイロット大将の発言にも、少しずつ「空中戦命な発想」からの転換の兆しが伺えます

防衛省は相変わらず「ステルス戦闘機」開発に大きな投資を行っているようですが、もうそろそろ方向転換しないと・・・。

米国の懐に入り込もうとするなら、つまり同盟の操舵室に入り込んで米国を活用しようとするなら、有人戦闘機以外の「amazing technologies」を発掘又は注目し、米国にどんどん売り込みたいモノです

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