30日、James米空軍長官とWelsh空軍参謀総長が、今後30年を見据えた米空軍新戦略「America’s Air Force: A Call to the Future」(22ページの文書)を発表しました。
フロリダで開催中の米空軍協会総会で発表された事が示すように、空軍内部に指針を示す位置づけの文書であり、政府や議会に対する義務が生じるようなモノでは有りません
夢や希望も多分に含まれている代物ですが、「情勢認識」や「注目の技術」や「抑止」に関する記述部分に注目して断片的にご紹介します
30日付Defense-Newsによれば
30年戦略が重視する「トレンド」
●米空軍の技術的先進性を維持するため、技術的革新要素の萌芽を見逃さず活用する。最近ではポータブルなディバイスがこれに当たる
●地政学的な不安定性が継続すると予想されることから、現状だけに注目していては不十分である
●強固に防御された領域での活動や、大きな被害を受けた状況下での人道的活動等、多様な作戦環境を想定するべき
●国際的な公共財とも言える航空宇宙やサイバー空間を防護する必要性が高まる
状況を根底から変化させうる技術要素
●hypersonic weapons
●nanotechnology
●directed energy
●unmanned systems
●autonomous systems
ビーム兵器に関するACC司令官の講演
●ここ数週間の間に、エネルギー兵器(レーザー兵器)の研究機関を複数視察する機会があった。そして本分野で驚くべき進歩があることを確認できた
●これら一般の企業や研究機関に声を掛け、一緒に協力して研究を進めたいとの強い思いに駆られた。研究開発に投資するとともに、企業が実用化するところまでが重要だと改めて感じた
近代的な抑止概念
●21世紀においては、核抑止は引き続き重要な要素だが、それだけでは不十分であり、将来の抑止を考える環境は遙かに難しくなる
●アルカイダのような脅威は核兵器では抑止できず、またイランのような国は核対処を招きかねないような軍事手段ではなく、サイバー攻撃を手段とする可能性が現実的だ
●一方で、より安価でより使用しやすい技術をベースにした革新的な新抑止手段が必要だ。サイバーはこの役割を担うだろうし、高いISRアセットも必要になろう
●敵がミサイルを製造して発射するコストより、我々がミサイルを破砕するコストが大幅に低ければ、戦略的な算段は大きく変化しうる
米空軍の「America’s Air Force: A Call to the Future」紹介webページ
→http://www.af.mil/News/ArticleDisplay/tabid/223/Article/486897/strategic-agility-is-the-future-of-the-air-force.aspx
30年新戦略の現物22ページ
→http://airman.dodlive.mil/files/2014/07/AF_30_Year_Strategy_2.pdf
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本当に部分的&断片的&つまみ食い紹介になってしまいましたが、お金がないので、アイディアで勝負したい。そのため同盟国や産業界や学会ともしっかり協力し、議会にも理解してもらいたい・・・そんな思いが詰まっているようです
それでも、航空優勢獲得のために戦闘機を買う発想から脱皮を目指そうとの兆しが感じられます。普通に敵の脅威を見つめれば、空中戦が今や航空作戦の中心でないことを悟らざるを得ない状況なのですから。
米空軍主要ポストのパイロット独占を改める動きが数年前から進み、ついに対中国航空作戦の指揮官に非パイロットが就く時代になりました
2013年米空軍参謀総長の新年メッセージで、「戦闘機パイロット文化への攻撃は空軍の文化ではない」と、空軍内で実施されたアンケート結果の衝撃を表現して訴えた空軍首脳部ですが、お金が無くなって初めてその方向転換の必要性を身に染みて考え始めたのかもしれません
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04