これまでも米海軍内で紆余曲折のゴタゴタが続いていた空母艦載無人機UCLASS(Unmanned Carrier Launched Airborne Surveillance and Strike)の要求性能ですが、議会を含む各方面からの疑問の声を受け、国防省が再吟味することになりました
米海軍内のドロドロ議論を経て、4月に関連企業4グループから提案要求書RFPへの最終意見聴取を行い、7月末には正式にRFPを候補企業に提示する予定だったのに、今頃になって国防省が介入です。
まんぐーすは介入大歓迎です。
米海軍が要求しそうだった「A2AD突破まで期待しない程度のステルス」、「軽攻撃能力」、「他機に空中給油可能」、「将来の能力向上が容易」等々は、対テロ程度の能力で、対中国には不十分なレベルだからです
11日付DODBuzz記事によれば
●米国防省高官によれば、国防省はUCLASS計画を遅らせて要求性能を再検討しており、新たに統合作戦を踏まえた提案要求をまとめることに取り組み始めた
●米海軍の要求性能があまりにも小さくまとまりすぎていると議員達からも批判を受け、国防省は企業への無人機の提案要求書提示を中止した。
●関係者の懸念は、海軍の要求値がステルス性を十分に追及せず、他の兵器搭載量等を犠牲にしている点である。
●提案要求書RFP発出の一時中止は、長時間ISRを重視して攻撃やステルスを軽視する海軍の要求を批判する国防調達評議会(DAB:Defense Acquisition Board)の議論を経て決定された
●DABの議論は、統合の要求性能文書CDC(Capabilities Development Document)が必要で、RFPにはステルス性、搭載兵器、電子戦能力等を広範に含めるべきだとの方向になった模様
●専門家、国防省関係者、Randy Forbes上院議員等の議員が特に気にしているのが、敵周辺空域の洗練された防空網突破力と多用な目的に応じた様々な兵器を搭載できるかである
●CDDには他軍種、例えばステルス機の運用経験が豊富な米空軍からのインプットも重要になる、と国防省高官は語った
●一方で、要求が拡大すると機体も分厚くなり、ステルス性が損なわれる。それを補うには、UCLASSへの空中給油する所要も増加する点も指摘されている
●米海軍関係者は拡張性を確保し、最新技術を後に導入化の設計を行うと言うが、その実行可能性については多くの疑問と批判を呼んでいる
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まんぐーすは米国防省の介入を大歓迎し、UCLASS要求性能見直しに大賛成です
しかしです・・・この紆余曲折、このゴタゴタは何なんでしょうか?
予算削減で各軍種の各職域が組織防衛体制に入り、この例のように海軍内だけで利害調整をすると、「本来目的を見失ったトンデモ装備品要求」が飛び出してくるわけです
まぁ、それでもペンタゴン内では、そんな動きをチェックする機能がまだ働いているということなんでしょう。
理解不能な米海軍航空作戦構想
「米海軍の航空作戦構想NIFC-CA」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
UCLASS関連の記事
「関連企業とRFP最終調整へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19
「なぜUCLASSが給油任務を?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02-1
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSで空中戦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21