伊が米に要求:もっとF-35の製造分配を!

Pinotti1.jpg6月24日、Roberta Pinotti伊国防相が伊議会国防委員会で、20日に訪米した際、ヘーゲル米国防長官に対し、イタリア北部のF-35組立工場FACOでの製造割り当てが減ら無いようにないようにお願いした、と語りました。
伊の調達機数を削減しておきながら、欧州諸国が調達するF-35の生産を、米国内からイタリアの工場に譲って欲しいとの都合の良いお願いですが、色好い返事はまだ得ていないようです。
たいしたモンです。これだけ自己主張が出来れば。イタリアは数年間国防費を大幅に削減し、兵員も削減するらしいので、その改革意欲には学ぶべき点があるかもしれませんが。
6月27日付Defense-News記事によれば
Pinotti3.jpg●伊のPinotti国防相は議会の国防委員会で「私は米当局に対し、歴史的に戦略的関係の深い両国関係に免じ、イタリアのF-35調達数減を穴埋めするだけの生産機数を、伊のCameri工場に分け与えて欲しいと強くお願いした」と語った
●イタリア北部の空軍基地内に設けられたF-35の最終組立&検査工場FACOは、伊がF-35調達機数を131機から90機に削減するため、生産縮小の危機に直面している。
オランダ用の機体製造をテキサス工場から振り回してもらう依頼や、ノルウェー用機体に関する交渉を行っているが、良い返事は得られていない。ノルウェー国防省の補佐官は、製造場所を変更する計画はないと語っている
●イタリアは6機の調達契約と、4機の部品の一部の製造契約を結んだだけで、本年12月に新しい国防計画白書を決定するまで、更なる契約を凍結している
Pinotti2.jpg●新しい国防計画白書が12月までに決定できなかったり、予算が確保できない場合、Cameri工場での業務に「空白」が生じ、工場の生産能力や技量維持が困難になり、製造競争力が低下する恐れがある
●一方でPinotti国防相は6月24日、今後3年間の国防費縮小計画を発表し、2014年度の調達予算を15%削減して約3500億円にし、15年度も16年度も同レベルに押さえる方針を示している
●また今後10年間で、現在の総兵員19万人を4万人削減し、15万人体制にする計画も示している
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イタリアは、新しい首相の元で財政建て直しを図ろうとしており、国防予算も緊縮を迫られています。そうしないと国際社会から信用を得られず、通貨危機や信用不安を引き起こす可能性があるからでしょう。
F-35-Face.jpgつまり、伊のF-35調達は「風前の灯火」です。他の欧州諸国も似たような側面があります。米国や日本だってそうです。米国防省の調達担当次官が「米国は調達機数を確約できない」と明言していますから
そして製造企業のロッキード・マーチンンの責任者は、「F-35価格の8割は製造機数に直結する」と開き直り発言をしています。
誰だって分かります。F-35は破滅の道です。そして戦闘機への過重投資が破滅の道です。
「伊新首相が更なるF-35機数削減に言及」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-18
「F-35:米国は購入機数維持を約束できない」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-15
「戦闘機の呪縛から離脱せよ!」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

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