26日付Defense-Newsが、5月19日の週にEric Fanning空軍次官に対して行ったインタビューを掲載し、厳しい予算状況の中での優先順位やその考え方について突っ込んでいます
最近は海軍のNIFC-CA構想関連の話題が多く、米空軍が音信不通状態ですので、具体性には欠けるもののご参考まで紹介いたします
質問1:議会は、空軍が全廃を要求しているA-10を1年以上の延期させようとしているが如何?
回答1:予算状況がタイトであることは繰り返し明確に説明してきた。また空軍のA-10全廃の合理性も十分説明した。政治的判断に時間を要し、問題を先送りすれば、予算増加見込みのない来年以降、問題が更に大きく高価になるだけである。
質問2:空軍は3つの最優先(F-35、給油機、次期爆撃機)をかなり良く進めている。しかしその後に続く第2優先レベルの救難ヘリ、JSTARS、T-X等については優先をどう考えているか
回答2:お話に出た第2レベルに特段の順序付けはしていないし、その他にも第2レベルには多くの項目が当てはまる。ただし、次期練習機T-Xは空軍の存続に直結する話である。現練習機は老朽化が進み、想定寿命を大きく超えている。F-35価格を適正にするためにも、T-Xは重要である。また私の中ではJSTARSも高い位置にある
質問3:救難ヘリCRHは予算検討でも議論がないが
回答3:極めて重要なプログラムであるが、予算プロセスで議論されてないことも確かである。重要にもかかわらず、予算が厳しいからである。また理由の一つは、生産ラインがあり、仮に予算が確保できて議会の理解が得られれば、調達にそれほど労力を要しないと見ているからである
質問4:次期爆撃機を遅らせたり削減したりすることはあり得るか
回答4:次期爆撃機は3つの優先事業の一つであり、議会でも多くの支持を得ているので、現計画を守れると思う。必要な能力確保のため、空軍の他の予算を削減しても、計画を維持する方向に向うだろう。
質問5:強制無給休暇や飛行時間削減を再び行う可能性は
回答5:強制無給休暇を検討するような会議に出たことはないし、再検討することも望まない。先の強制無給休暇は、恐ろしいほど文民職員を誤解し、誤って評価したものであった。私の次官に就任直後に同施策が実施されたが、視察した全ての部隊指揮官がまず言ったのは「文民職員を元に戻してくれ」であった。彼らは前線で働いているのだ
回答5-1:昨年、文民職員の強制無給休暇を実施せざるを得なかったのは、シリア情勢の緊迫を踏まえ、必要なパイロットの技量回復を行う飛行時間を確保する必要があったからだ。前線に派遣する兵士に、必要な準備をさせない事ほど非難されるべき事はない。飛行時間とはそのような重要性を持つものなのだ。
質問6:軍需産業基盤に関して懸念事項は
回答6:米軍が縮小すれば、産業基盤も縮小し、技術革新や先端技術で優位を築けなくなる。研究開発予算の縮小を懸念している。大企業だけでなく、小企業にも多くの先端技術や開発を依存しており、具体的に今何が起こっているのか把握できていない面も多く懸念している。関連する企業の研究施設等も、一度失うと再建が極めて困難である。
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A-10操縦者であったウェルシュ空軍参謀総長が、断腸の思いで決断したA-10全廃の予算案でしたが、政治レベルで「結論先送り」の雰囲気です。生殺しです。
Fanning次官が語るように、先送りすればするほど決断は困難に、代償は高くなります。先送りの直接的な影響の他に、次に続くはずの「決断」も遅らせ、組織の沈滞を招きます。
多かれ少なかれ、現代の民主主義国家はこのような悪い側面を持っています。日本も同様と考えるべきでしょう。いや、極端に右に急旋回する、恐ろしい側面を持つかもしれませんし・・
国防費を突然2~3倍にすることが適当でしょうか? また出来るでしょうか? 世界の金融や経済市場と結びついた日本が、そんな判断をして世界市場で現状を維持できるでしょうか?
仮に国防費を増額するなら、まず適切に自衛隊の「スクラップ&ビルド」を行い、世界に改革が出来る国であることを示し・・・それが大前提だと思います。
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