米海軍艦艇LCSに陸軍対地ミサイル搭載へ

LCS-2ship2.jpg9日、海軍トップのグリーナート大将(CNO)が米海軍協会主催の海空宇宙展示会での講演で、沿岸戦闘艦LCSの兵器強化の一環として、陸軍が保有しているヘルファイア対地ミサイルをLCS搭載する計画だと語りました。
なお、同戦車ミサイルの搭載は「とりあえずの施策」で、将来的にはより射程の長いミサイルを搭載し、よりLCSの破壊力を強化したいと語りました。
また「電磁railgun」開発が、実験室段階から現場試験段階に入ったと語りました
2015年度予算案の策定段階で、ヘーゲル長官がLCSの調達隻数を52から32隻に削減すると決定し、海軍にLCS強化策や代替艦艇の検討を命じていますが、そんな中での動きの一つです。
海軍トップのグリーナート大将(CNO)は
Greenert-CNO2.jpg●我々は任務を遂行するため、任務に適応したプラットフォームに、何を搭載すべきかを追求すべきである。
沿岸戦闘艦LCSには、「Longbow Hellfireミサイル」を搭載する。これはとりあえずの措置で、いずれは長距離ミサイルを搭載する。LCSの破壊力をもっと強化する
●「電磁railgun」開発が実験室段階から現場試験段階に入っており、約10kgの弾丸を時速1万キロで発射する事が出来る。その猛烈な速度が運動エネルギーとなり、弾道無しで大きな破壊力を生み出す
●米海軍は、艦艇用の長射程高エネルギー兵器として、「電磁railgun」2016年に搭載する計画を持っている
●また米海軍は、アラビア湾で活動するパトロール艇に新しいミサイルを搭載する計画である。試験は順調に進んでいる
同イベントで米海軍幹部も
(米海軍LCS計画担当のJohn Ailes 少将)
Hellfire2.jpg垂直発射が可能で、レーザー誘導照射による目標への誘導が不用なHellfireミサイルをLCSに搭載し、小型ボートの脅威に対処する計画だと語った
●同ミサイルは、ミサイル自身が搭載するミリ波シーカーで自立的に目標に到達でき「打ちっ放し」が可能で、多数の目標に同時対応できる。
●重量約50kg、長さ2m弱、射程8kmのミサイルで、最近ではヘリや無人機から発射されることが多かったもので、米海軍は陸軍が保有する約1万発の同ミサイルを譲り受ける予定である
●ロッキード社が既に地上で試験を終了しており、海軍は今年後半にLCSで同ミサイルを試験する予定である。これには垂直発射機をLCSに組み込むことが必要である
●同少将はまた、海軍が射程12マイル以上の「Griffin missile」(重量約20kg)の搭載も検討していると明らかにした。
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Hellfire.jpg本当は予算削減や強制削減の現実を語りたいのでしょうが、海軍協会はOBや産業関係者が多数参集していますので、後ろ向きの発言を控えたいのでしょう。
陸軍が保有のミサイルを「下取りして活用」とは、本当に素晴らしいアイディアだと思いますし、担当者に拍手を送りたいです
もともとLCSは、多様な任務に対応できるようにモジュール化の発想を持った艦艇なので、比較的対応が容易なのかもしれません
しかし海軍トップが語るべきは空母と潜水艦と航空機への資源配分をどうするか、その根本となる戦い方をどうするかであって、その話がどうなったのか気になります。有ったのか無かったのか・・
報道されてないので無かったのでしょうが・・・
電磁レイルガンについて
「電磁レイルガンと電子戦POD」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-08
沿岸戦闘艦LCSの関連
LCS再検討のリーダーは?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-24
「LCSの強化や代替検討指示」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-11
「長官の2015年度予算案会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-24
完全カバー:ヘーゲル長官4回目のアジアツアー
ASEAN国防相会議、日本、中国、モンゴル訪問
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-01

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