24日は2つのF-35関連ニュースが重なりました。韓国がF-35購入を正式決定したニュースと、米会計検査院GAOが再びソフト開発に懸念を示すレポートを発表した件です。特に新味のある報道ではありませんが、「亡国のF-35」の件ですので、その顛末をきちんとフォローです。
ついでながら、米GAOがレポートで指摘してる「悪い予想・予感」は、残念ながら、全て間違いなく的中すると思います。GAOも確証を持って「予言」しているのでしょうが、政府機関としては現時点でそこまでしか言えない段階なのでしょう。
個人的には、「予言」と言った推測の域ではなく、予言が当たらないことが「奇跡」だと思っています。米政権の状況や予算を巡る議論を見るに、「火を見るよりも明らか」とはこのことです。
韓国がF-35購入を正式決定も・・・
24日朝、韓国国防省の調達計画委員会(DAPEC)が声明を発表し、F-4とF-5戦闘機の後継機として、F-35A型を選定したと公表した。昨年11月に、一度F-15SEと発表しておきながらステルス性が不足する「難癖」が付き、事実上F-35に決定したところですが、正式に手続きが完了したようです。
24日付Defense-Newsによると
●韓国DAPECの声明には調達機数が含まれて無かったことから、ロッキードマーチン社のEric Schnaible国際関係担当責任者は「我々の声明にも機数は含めていない。ただ全機テキサスのFort Worth工場で生産される」と述べた
●またSchnaible氏は「我が社が夏までに発行する受諾書に、生産提供タイムスケジュールと価格が示される」と付け加えた
●今回の選定で韓国は40機のF-35購入を決定したと言われており、1号機は2018年に提供される予定。イスラエルと日本に続き、3番目の共同開発国以外の購入国となった
●通常型のF-35A型は、戦略的縦深と洗練された防空網を有する国で人気が高いが、シンガポールや台湾は垂直&短距離離着陸(STOVL)型のF-35B型(海兵隊型)に興味を示している
●両国とも戦略的縦深性がなく、敵との交戦の初動段階で滑走路を全て失うだろう事から、強烈度の弾道ミサイル攻撃下でも運用継続の可能性があるSTOVL型のF-35Bに関心がある
●なお韓国は、年末までに空中給油機の選定を行い、国産戦闘機の設計開発を開始する
韓国F-X選定のゴタゴタ・・・
「韓国が突如F-35の方向へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-03
「韓国軍F-XはF-15SEへ!? 」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20
米会計検査院が再びF-35ソフト開発に懸念
韓国がF-35購入を正式発表した同じ24日、米会計検査院GAOの新レポートがソフト開発の遅れに懸念を示したようです。
24日付Defense-Newsによると、GAOは国防省の試験評価室(OT&E)報告書の懸念をフォローしたもののようで、国防省F-35計画室も承知の事実のようですが、依然としてソフト開発は順調ではないようです
●GAOの新レポートは「2012年3月にF-35計画が再構築されて以降、コストと計画管理は比較的安定しており、鍵となる分野でも進展があった」と表現している
●一方で「しかし、引き続くソフト開発問題は、戦闘における緊要能力の飛行試験を遅延させており、コストとスケジュールを危機にさらしている」と指摘している
●国防省は、海兵隊用の初期能力獲得時期(IOC)をソフト「Block 2B」で2015年7月、空軍用を「Block 3I」で2016年12月、海軍用を「Block 3」Fで2018年8月~2019年2月の間としているが、国防省の試験評価室(OT&E)はソフト開発の遅れで海兵隊型が13ヶ月遅れる可能性があると指摘していた
●GAOレポートもこの点を指摘し「国防長官は現実的に機体提供可能な時期やIOC時期を見積もるべきだ」、「ソフト開発が遅れたり、予算が確保出来なかったり、価格目標が達成出来なかった場合、国防省は生産計画見直しを迫られ、能力の劣る機体を受け取る判断を迫られるだろう」と結論づけている
●これに対しF-35計画室長のBogdan中将は「ソフト開発は本計画1番の技術的リスクであり、ソフトの作成、試験、融合に組織的規律を持って対応している」と回答した
●一方で同中将は先月、「(海兵隊型と空軍型の能力付与時期には自信があるが、)海軍用ソフト3Fは海兵隊用や空軍用の開発に依存していることもあり、将来予想が難しい」と認めている
●同日韓国がF-35購入を発表したが、イタリアはF-35調達機数の更なる大幅削減を検討している。また、機体試験で同隊隔壁やエンジン部品の亀裂が見つかっており、計画全体への影響が注目されている
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「F-35A型(空軍用)は戦略的縦深と洗練された防空網を有する国で人気が高い」・・・日本の防空網は比較的洗練されていると思いますが、「戦略的縦深」を有するかは「?」です。
日本はSTOVL型F-35を検討するのでしょうか? それでも戦闘機がほしいなら、南西諸島にはF-35B型しかないように思いますが・・・
韓国F-35の価格や付帯条件には注目です。韓国は「あの手この手」を何でも繰り出す国ですから、意地でも表面上だけでも「日本より有利な」契約にするのでしょう。
「全機テキサスのFort Worth工場で生産」らしいですが、韓国関係者は日本のFACOをうらやましがるのでしょうか? 泥舟を避けた、周到なアプローチなのでしょうか? その当たりにも注目です。
3月26日Bogdan中将が「4~6ヶ月の遅延」を認める
(下院の関連軍事小委員会で証言)
→http://www.defensenews.com/article/20140326/DEFREG02/303260041/Further-Delays-Predicted-F-35-Program
マスコミ御用達!
「亡国のF-35」を記事96本で徹底追求!
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302846744-1