13日付朝雲新聞の1面コラム「春夏秋冬」に、前防衛大臣の森本敏氏が「世論は健全か」との短文を寄せています。
森本氏が防衛大臣を退任後、結構率直な発言が目立つなぁ・・・と個人的に感じていますが、そんな森本氏による発信の一つになろうかと思います。
短いコラムなので、森本氏が何を言いたいのか、何を指して表現しているのか判りにくいとも思うのですが、安全保障問題に一途に取り組んできた方の見方ですのでご紹介します。
「公のために論じるのではなく、自らのために論じ、批判されるのを避けたがる人が多いことは問題である」との言葉に感じるモノがありました
朝雲新聞の1面コラム「春夏秋冬」後半より
●日本の世論には特徴がある。第一は、左派右派両派とも極端で共通項が少ない点である。米国の共和・民主党の支援者には多くの共通項があり、国家の尊厳や国益、自由・平等・人権の尊重などの価値観が共有されている
●(以上の価値観を共有した上で、)如何なる価値や利益を優先するか、政策上の優先意識は何かという点で政党支持が変わり、主義主張が変わる
●ところが日本では、右派と左派は価値観や国益の見方が全く異なることが多く、左派の中には国益という考え方を受け入れない人もいる
●第二の特徴は、日本の右派と左派は相容れないので、お互い直接論争をしたがらない。また一方で、中間にいるサイレント・マジョリティーの意見を代表する論客は少なく、立場も穏健中庸なので目立たない
●左右両派は中間層の支持者を増やそうと働きかけるが、中間層から異論を言われると猛烈に反論して守ろうとする。このため中間層は右派も左派も避けるようになり、健全な議論が敬遠されるようになる
●右派と左派が本気で争わないのは、双方の本質が同根であるからだろう。特に、公のために論じるのではなく、自らのために論じ、批判されるのを避けたがる人が多いことは問題である
●何が日本のためになり、何が多くの国民にとって正しいのかを、感情論でなく、空想主義でもなく、リアリズムに基づいて論じてほしいと思う
●まやかしを積み重ねた、建前だけの理屈と空論にはうんざりである。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「右派も左派も、中間層から異論を言われると猛烈に反論」、「右派も左派も、公のために論じるのではなく、自らのために論じ」、「中間層は右派も左派も避け・・・健全な議論が敬遠され」、「建前だけの理屈と空論にはうんざり」
・・・ということなので、「東京の郊外より・・」はそうならないように気をつけたいと思います
森本氏の発言紹介
●大胆な「防衛構想」。専守防衛は止めよ、中距離ミサイル導入や索敵地攻撃能力の強化、陸上自衛隊はBMDも攻撃もミサイルを全て担当せよ等々、概ね賛同できるご意見の数々→
「タブー無しの防衛構想を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05
「退任後大いに語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-22-1
「国民の国防理解が不十分」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25