12月23日、米国防省が議会に報告する今後25年間の無人機戦略をまとめた約170ページもの「Unmanned Systems Integrated Roadmap: FY2013-2038」を発表しました。
ケンドール国防次官(調達技術担当)とウィネフェルド統合参謀本部副議長の署名がある文書で、2011年にも同タイトルの報告書を出しています。議会が無数に国防省に求める報告書の一つですが、今関心の集まる無人機ですのでご紹介します
米国防省webサイト記事は・・・
●本ロードマップは、国防省が扱う全ての無人システムに関する開発、生産、テスト、訓練、作戦、維持の「visionとstrategy」を描写したものである
●今後25年間の技術動向を洞察し、国防省と産業界が知的にかつ経費可能性を踏まえ、執るべき行動と採用すべき技術を明らかにするものである
●このロードマップはまた、兵站、維持、訓練、国際協力面での課題を整理し、同時に全ての無人システムの戦略計画や政策、要求性能、開発、運用環境について言及している
●無人システムは中東や中央アジアでこれまで有効性を証明してきたが、これら技術は国防機関全体に広く普及され組み込まれなければならない
●無人航空機が注目を集めているが、水中システムや地上システムも戦士に信じがたい能力を提供している
●同システムは米軍のアジア太平洋シフトにきわめて重要であり、エアシーバトル教義の効果を発揮させるものである。そして将来は、より困難な環境、天候、地形、距離、空域で活動することが求められる
●更に、より広範な協力関係が同盟国やパートナー国との間で求められる
12月30日付Defense-Tech記事は・・・
●米国防省は、より多くの無人機に軽量で精密誘導な兵器を搭載し、より広範な戦闘任務で活用することを望んでいる
●無人機ロードマップは、「無人機は多様な作戦環境や脅威環境で使用でき、有人機より多様な規模や大きさを選択でき、有人機より耐空性能に優れ、潜在的により多様な任務を支援可能である」と述べている
●今後5年間で2兆4千億円が投入される計画だが、2013年から14年の間の無人機開発経費は1/3削減されている。それでも国防省は、約1万1千の無人機に既存の兵器を搭載しようと考えている
●無人機への兵器搭載研究の事例
—RQ-5 Hunterにレーザー誘導のイスラエル製対戦車等ミサイル「LAHAT」を搭載し、6マイル以上の射程を確保
—米海軍とイタリアDRSのSentry HP無人機は、SPIKE missileを搭載し、敵の小型艇や小型機への対処をテスト中
—米海軍はMQ-8B Fire Scout無人ヘリにHydra 70 rocket搭載を試験中。現存兵器の間隙を埋める役割を期待
—陸軍と海兵隊は、手投げ式の軽量無人機を「カミカゼ無人機」としての活用を検討中
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このような報告書は次々と生み出され、どんどん中身は変わっていくものでしょうが、現時点でのおおよその考え方を知る参考となります
今や世界中で当たり前のように活用される軍用無人機ですが、ゲーツ元国防長官の大号令の下、イラクやアフガンで大活躍したことで急速に普及し始めたのは5年ほど前からです
米国よりも脅威に変化の最前線にありながら、米国より遥かに慎重に(言い換えれば、導入に強固に抵抗しつつ)グローバルホークをやっと3機導入する方向だけ打ち出した日本ですが、有人攻撃機に取って代わる無人攻撃機を導入するのは何時になるのでしょうか??
膨大な資料のため、各メディアとも「もてあまし気味」ですが、原文が公開されているので、ご興味のある方はご確認ください
→http://www.defense.gov/pubs/DOD-USRM-2013.pdf
陸海軍の無人システム話題
「国際標準の地上システムを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-04
「機雷対処艦無人システム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30-1
「海軍の無人システム操縦者養成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14-1