次の次の空中給油機KC-Yを考える

Thompson Kc-y.jpg28日、米空軍の空中給油機計画を司るJohn Thompson少将が、現在製造が開始されている空中給油機KC-46A以降の空中給油機についてインタビューで言及しています
根拠のない戦闘機数を維持することしか「実質」頭になく、防衛省や航空自衛隊が事実上「無視」又は「片手間扱い」している分野ですので、断片的ながらご紹介いたします
その前に基礎知識として・・
●現在米空軍は、空中給油機を約470機保有(古いKC-135が約410機、比較的新しいが25歳以上のKC-10を約60機)
●まず老朽化が激しく維持整備費が高騰しているKC-135の後継第1弾として、KC-46A(B-767を基礎に製造)を計179機調達予定で、初号機を組み立て中
●KC-46Aを「KC-X」とすると、今後「KC-Y」と「KC-Z」を調達して現有機体を更新する構想
Thompson少将は将来計画について
KC-Y tanker.jpg●現時点での構想では、KC-46Aの最終調達が2027年で、かつKC-135を維持できる限界を考慮すれば、「KC-Y」を2025年頃から導入する必要がある
●また「KC-Y」を2040-45年の間で、「KC-Z」を2050-60年の間で調達を終了する事を想定している
●「KC-Y」に関しては、2014会計年度から約1億円(来年度は1.5億円)を投資し、「将来空中給油機の能力検討」を開始する
●「将来空中給油機の能力検討」は、航空輸送コマンドAMCと空軍ライフサイクル管理センターが要求性能検討の準備を整え、「KC-Y」の姿を描くことになっているが、空中給油機に必要な基礎的事項は全て網羅してもらう必要がある
●空軍は今後数年にわたる本検討で、「強固な敵防空域にどれ程近接して運用する必要があるか」、「どの程度の自己防御能力が必要か」、「どの高度が最適給油高度で有るべきか」、「どの程度の給油量が必要か」等を示す必要がある
空中給油機の維持整備体制
●「KC-Y」がKC-46Aと類似した要求機体になる可能性もあり、一方で全く異なる要求に基づき生産される可能性もある。従って、KC-46Aの維持整備体制にどの程度投資すべきかは判断できない
●同時に、KC-46Aの維持態勢を、民航機であるB-767の商用維持基盤にどの程度依存すべきかも重要な検討課題となる
●いずれにしても、「KC-Y」の導入が開始されるタイミングは、次期爆撃機(LRS-B)の生産が開始され、F-35調達が中間点にある頃なので、いろいろと難しい時期となる。
KC-10の後継無しの可能性
30日、米空軍報道官は「KC-135の後継機はKC-X、KC-Y、KC-Zの3段階で考えているが、KC-10をどのように本構想に当てはめるかは未決定である」と述べた
●KC-10に関しては空軍輸送コマンド司令官も最近、「KC-10を放棄する案が、予算強制削減の程度によっては対処案となる可能性がある」と述べている
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KC-Y tanker2.jpg対中国を考えるとき、拠点基地が少ないアジア太平洋へのリバランスを考えるとき、空中給油機は米軍にとって最重要のアセットです。従って米空軍は給油機を3大優先事業の一つにカウントしています。
しかし現実には、第一段階の「KC-X」KC-46Aの調達ペースも恐らく維持困難なはずですから、Thompson少将も「KC-Y」の夢を語るのは難しいかと思います
長細い国土を持ち、作戦拠点となる飛行場が少ない日本にとって、空中給油機の重要性は米軍に引けを取らないと思いますが、脅威の変化から目を背けた結果、今日に至るも「無視」又は「片手間扱い」しています
戦闘機の神格化や戦闘機操縦者による組織支配が全ての問題の根本です
「戦闘機の呪縛から離脱せよ!Ver.2」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

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