米攻撃原潜SSNの方向性を語る

25日、米海軍の潜水艦隊司令官が海軍潜水艦協会シンポジウムで講演し、攻撃原潜(SSN:今はfast-attack潜水艦と呼称するようです)の将来の方向性や予算確保への懸念について語っています。
海軍艦艇の運用や潜水艦作戦については、まんぐーすが最も苦手とするところですが、DODBuzz記事のご紹介に挑戦してみます。難しいところは省略して・・
25日付DODBuzz記事によれば
Connor-sub.jpg現在米海軍は73隻の潜水艦を保有している。SSBNのオハイオ級戦略原潜が14隻、同戦略原潜を改良してSSGN巡航ミサイル原潜とした艦が4隻
●攻撃原潜では、ロスアンゼルス級が42隻、高価なため3隻で建造が中断されたシーウルフ級、ロス級の後継艦で建造が続くバージニア級が10隻の計55隻である。1980年代に約100隻の攻撃原潜を運用していた事を考えると大幅減である
バージニア級SSNは毎年2隻建造しているが、ロス級の退役数の追いつかないため、潜水艦不足の悪化が懸念されており、ロス級の退役延期を検討すべきとの関係者もいる
●25日、Michael Connor米潜水艦隊司令官は「地域コマンド指揮官からの潜水艦への要求は、我々の提供能力を超えている」、「今後の予算削減の影響が懸念される」と聴衆に語った
Virginia-class submarine4.jpg●潜水艦への要求が増加する理由として同司令官は、「潜水艦は、テロネットワークの状況確認、特殊作戦部隊の監視、潜在敵国の意図や兵器性能把握等々の生きた成果を提供できるからである」と説明している
●専門家は、1980年代の攻撃原潜SSNの役割とは大きく異なり、バージニア級SSNの投入もあり、現在では地域コマンド司令官は情報収集のためにSSNを使用する。特にバージニア級のISR能力は際立っていると解説している
●同専門家は、80年代には敵潜水艦対処に当たっていたSSNは、最新のソナーやセンサーやISR機能により、地上攻撃も加えた任務体系に変化していると語っている
●これにより潜水艦への要求が増加しており、バージニア級SSNの部隊配備は10隻中7隻が前倒しになっている。次のUSS North Dakotaも7ヶ月前倒しの2014年2月になる見込みだ
潜水艦隻数の減少への対応
Virginia-class submarine2.jpg●潜水艦隻数の減少に対応する施策の一つとして、VPM:Virginia Payload Modulesがある。2019年度建造艦から組み込む計画のモノで、例えば現在12発強搭載可能な巡航ミサイルを40発にまで拡大するモノである(注:モジュールなので他の機能付加も恐らく可能)
●海軍のVPM計画責任者の少将は「2026年にSSGN巡航ミサイル原潜が退役を開始する前に、搭載ミサイル量を維持するため不可欠な事業で、これほどコストパフォーマンスも優れた計画はない」と強く主張している
●同時に同少将は「A2AD環境下の多くの状況で、唯一リスクを冒して多くの任務を遂行可能なのは潜水艦であり、潜水艦は多様な任務を遂行可能でなければならない」とも訴えた。敵能力の向上で航空機や水上艦艇の活動が制約された場合、潜水艦への期待は大きい。
●Connor潜水艦隊司令官はまた、海軍が計画している2016年のMK48型魚雷再生産開始と改良の重要性についてを訴えた。
●Connor司令官は「我々は魚雷の将来を、精密誘導の見通し外兵器へと進化させなければならない。魚雷の概念を超えるモノで、ISRや電子戦や攻撃的機雷敷設や攻撃能力の拡充を図る様なモノを考える必要がある」と語っている。あわせてTomahawk巡航ミサイルの対艦ミサイル版の必要性も強調した
Connor司令官への突撃インタビュー(今年7月)
→http://www.norfolknavyflagship.com/special_sections/20th_anniversary/article_e5d1c072-1728-11e3-945f-001a4bcf887a.html
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バージニア級SSNのISR作戦とは如何なるモノなのでしょうか? 
Virginia-class.jpg冷戦時代のSSNによる情報収集活動を描いた書籍「Blind Man’s Bluff」には、冷戦時代にはオホーツク海内でウラジオとの海底ケーブルに盗聴装置を仕掛けたり、バレンツ海に潜入してソ連弾道ミサイル試験の信号を傍受したりとの「内緒話」が、元乗組員への取材結果として描かれているようです。
バージニア級のISR能力を一般人が知ることは困難でしょうが、先日亡くなったトム・クランシー氏が存命であれば、米中激突を描いた小説の中で是非取り上げてほしかったと思います。合掌
バージニア級SSNの内部映像
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-10-1

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