10月3日、17年ぶりに日本で日米安全保障協議委員会「日米2+2」(両国の外相と国防相が4人で協議)が開催されますが、27日に米国防省でヘーゲル国防長官の日韓訪問レクチャーがあり、その前後で「日米2+2」についてかなりの情報が明らかになったようです
複数のメディア報道を総合すると
●南西諸島にある日米両国の施設の共同使用推進などを合意する見通し。ただし、共同発表では、具体的な地名は挙げない方向。
●共同使用は沖縄を念頭に置き、那覇基地内の自衛隊の一部を米軍嘉手納基地に移転する案や、米軍による下地島の滑走路利用などの構想
●1997年改定の日米防衛協力のための指針:ガイドライン再改定に関しては、「2+2」の下にある防衛協力小委員会に「変更を指示する」と明記する。再改定の終了目標期限は示さない。
●共同発表は、日米2国間の防衛協力、地域への関与、米軍再編などの項目で構成。これまでに日米当局間でおおむね合意した細目をまとめ、今後の方向性も表明
●具体的には、ミサイル防衛やサイバー安全保障問題での協力強化、宇宙ごみ監視での情報共有、ISR活動での連携などを打ち出す。宇宙監視では、自衛隊のレーダーの利用を想定
●米軍再編については、今年12月までにP8対潜哨戒機、2014年春に無人偵察機グローバルホークを日本に配備する方針を盛り込むことを検討
●在沖縄米海兵隊9千人のグアム移転については、「現行計画では20年代前半に開始することになっている」と記す方向で調整
サイバーに関する報道は
●防衛当局間で作業部会を設置し、両軍がサイバー攻撃を受けた場合の共同対処要領を策定する方針。審議官級をトップに年に数回開催。共同対処要領の策定のほか、情報共有、最新の防衛技術、人材育成の協力−−などを定期的に協議
●新たな共同対処要領は、両軍基地の情報通信システムが攻撃を受けるなどの事態を具体的に想定。自衛隊の「サイバー防衛隊」と、米軍がサイバー空間で共同演習を実施
共同演習の場はここ?
「サイバー演習場が本格運用へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-25
まんぐーすが思うことあれこれ
まんぐーすは交渉の背景や経緯を知らず、公開情報をぼんやり眺めているだけですが、上記の報道を見て思うのは?
●「MDやサイバー協力強化」はこれまで通り。「宇宙監視」は、これまでも時々報道されてきた、空自がBMD機能強化のために開発した監視レーダー「FPS-5の活用」のことでしょう
●「地域への関与」は、PKOに代わって最近「突然」使われるようになって来た言葉で、米軍が推し進めるASEAN諸国等の「能力構築」支援や共同訓練強化でしょう
●米軍の「P-8やグローバルホーク」はどこに配備されるのでしょうか? 自然に考えれば、中国の弾道ミサイル等の脅威が比較的少ない北日本の三沢辺りが有力でしょう
●「米軍による下地島の滑走路利用」は、中国のミサイル攻撃に備え、少しでも代替飛行場を確保しておきたい米軍の意向に沿ったものでしょうが、米軍を正面に押し立て、自衛隊も使用する腹でしょう
●ちょっと「?」なのが「那覇基地内の自衛隊の一部を米軍嘉手納基地に移転」です。那覇基地にはF-15やヘリやP-3が所在し、F-15を増やす計画がありますから混雑を避け、更に中国の攻撃に備えた戦力の分散対処なのでしょうか? 防衛省・自衛隊からの要望なのか?
●それとも、自衛隊の防空ミサイル部隊を嘉手納に移転し、嘉手納の防空を強化する案なのでしょうか?
●はたまた・・・米空軍は中国の攻撃が切迫した場合、F-15や空中給油機やAWASCを避難させるはずですから、「留守番よろしく」とのメッセージなのでしょうか?
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左の約2年前の「2+2」写真のように、米国防省webサイトのトップページに「国防長官の思いっきり不満顔」の写真が掲載されないよう、会談の成功を祈ります・・・
10月3日は、このあたりを視点に各種報道等に注目いたしましょう。
更に、まだまだアジア太平洋地域の問題に馴染んでいない、又は中東問題で手一杯のヘーゲル長官とケリー国務長官から、「韓国と仲良くしろ!」発言が出るかにも注目です
なお、ケリー国務長官は4日と5日にインドネシア・バリ島で開催されるAPEC閣僚会合に出席を予定しており、そっちでの「立ち回り」にも注目です
おまけで、ヘーゲル長官の訪韓で、F-15が除外されて振り出しに戻ったらしい「韓国F-X選定」に動きがあるかも注目です。
ゲーツ長官が不機嫌だった2年前の2+2について
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-22