7日行われた豪州総選挙は、Tony Abbott自由党党首率いる野党・保守連合(自由党と国民党)が勝利、6年ぶりの政権交代となりました。獲得議席は過半数を上回っており、2004年以来の大差勝利だそうです。
選挙前に野党保守連合のDavid Johnston「陰の国防相」は、国防費のGDP2%復活、米国等との同盟重視、F-35等の主要装備品調達等の政権公約を掲げていたそうです
選挙後の注目は、豪州の国防省が下馬評通りJohnston氏になるか、また公約に向け取り組みが進むかに向いているようですが、日本は各種国防施策で豪州との協力強化を掲げているので、14日付Defense-News記事から豪国防政策の動向をご紹介します
記事「新豪指導層は国防費を増加するか?」は・・・
●選挙前の8月27日、労働党のラッド首相は豪海軍の主要基地をシドニー周辺から豪北部や西部に移転すると訴えていたが、当時野党のJohnston「陰の国防相」は「ラッド首相の全ての提案は海軍基地に適しておらず、実行するには多額の投資が必要」と批判していた
「ラッド首相が海軍を北へ西へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28
●また選挙前に野党連合は、5月発表の国防白書に述べられていた豪州の戦略や保有能力を再確認し、アジア太平洋地域や世界の安定推進を目的とする安保上の優先事項をリストアップしていた。
●米との同盟では、米海兵隊のダーウィン派遣は米軍のアジア太平洋における前方展開や、地域での戦力分散を支援して行くと選挙前に発表している
●ただ国防費のGDP2%復活について豪の専門家は「仮にこの公約を守ろうとするなら、今後10年間、毎年5.3%の国防費増を確保する必要があるが、同期間に最低3回総選挙があることを考えれば、どれだけこの公約達成が困難かが判るだろう」と懐疑的に見ている
個々の装備品に関しては・・・
●F-35戦闘機
—F-35の初度購入72機についてはこのまま継続するが、更に28機追加するかについては、前政権が決定したEA-18GやFA-18購入決定との関連で検討が必要
●MQ-4C海上偵察無人機
—選挙期間前、野党連合はMQ-4C海洋監視無人偵察機を購入すると述べていたが、選挙に当たっての声明ではより慎重な姿勢になっている。
—その声明はその有用性を認めつつも、「海上監視無人機については、軍の助言を得ながら、コスト利益分析を踏まえて検討を行う」としている
—専門家もその点を指摘し、12ヶ月前は突進していたが、最近はより慎重に見極める姿勢を取っていると分析している
●コリンズ級潜水艦延命と後継艦
—野党連合政権は、コリンズ級潜水艦の延命措置を行い、次期潜水艦を調達するまでの間のギャップを作らないと選挙前に言っていた。
— Johnston「陰の国防相」は昨年11月のテレビ番組で、次期潜水艦について原子力潜水艦のオプションは無いと連立野党の政策を説明していた。このままだと米海軍のバージニア級攻撃原潜の選択肢はない
—専門家は、原潜の選択肢は経費的にも無いだろうとしながら、新たに大型の従来型潜水艦を建造することもその経費の面から更に悪い選択であると述べている
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選挙期間中は、与野党両方が国防費増額を訴えていたそうです。
豪国内の雰囲気をよく承知していないのですが、豪国民も何となく中国の脅威を感じ、米国のアジア太平洋政策を応援すべきとの感覚なのでしょうか? それとも単にラッド政権に飽きたのでポイしたのでしょうか?
やはり脅威を感じにくい国ですから、今後の経済次第では国防費をGDP2%にまで押し上げるのは並大抵のことではないでしょう。
日本は各種国防施策で豪州との協力強化を掲げていますが、どこまで突っ込んでいって大丈夫なんでしょうか?