海軍と空軍が航海や飛行の効率改善研究

海軍が試験中のハイブリッド艦艇推進システムと、空軍が検討中の低燃費輸送機についてご紹介
米海軍のハイブリッド艦艇推進システム
USS-Makin-Island.jpg●米海軍は現在USS Makin Islandで使用している「hybrid-electric propulsion system」を、今後大型の強襲揚陸艦や駆逐艦にも搭載して適応状況を確認していく模様
●「hybrid」システムは、従来のガスタービン推進エンジンに加え、ディーゼル発電機と電動モーターを推進力として持ち、2つのスクリューで推進するシステム。
電動モーター推進は速度12ノット以下の場合に使用し、それ以上の速度の場合はガスタービン機関により運行する事になる。
●電動モーター用のディーゼル発電機の電力は、推進力の他にも艦艇のセンサーや兵器システム等にも活用でき、艦艇のシステムや兵器に電力使用が急増する中、その供給源としても期待できる
●大型強襲揚陸艦では、次世代型のUSS AmericaとUSS Tripoliに同推進システム搭載を進めている。また揚陸艦で有効性が確認できたら、駆逐艦DDGクラスにも定期修理やアップグレード時期を利用して搭載を進めていきたいと、海軍次官補代理のTom Hicks氏は語っている
●上記の艦艇は任務大半の時間を12ノット以下の速度で運用されており、「hybrid」システムが正に活躍できる領域である。
●Hicks氏は他の効率性向上策として、「stern flap」と呼ばれるプレートで船を少し持ち上げて運航する装置や、「舳先の塗装やコーティング」で水との摩擦を提言させる研究も行っていると説明している
更に「Smart Voyage Planning Software」によって海面状況、海水温、潮流、風向風速を総合的に計算し、航海の効率性を最適にするルートを選択する研究も行っている
空軍輸送機の燃費向上タイプ検討
blended wing-body.jpg米空軍はNASAの研究者や企業技術者と協力し、空気抵抗をなくして燃費性能を大幅に改善できるタイプの輸送機研究を行っている
●空軍省のKevin Geissエネルギー担当次官補代理は「blended wing-body(B-2のような胴翼一体型)が検討の一例である。その場合、翼のような部分に貨物を搭載する」と語り、「搭載容量確保と空気抵抗低減を両立できる最適なデザインを求めている」と説明した
米空軍は年間2000億ガロン以上の航空燃料を消費しており、燃費向上は米空軍のエネルギー施策の大部分を占める重要課題である
●機体形状以外にも、空気抵抗の少ないアンテナや「winglets」と呼ばれる翼端の形状も研究されている。また貨物搭載時の「重心コントロール」と「貨物の機内配置」も効率性追求に重視されている
●機体以外にも、運行の最適ルートを計算する「Mission Index Flying」は、機外センサーやリアルタイムの気象情報を元に燃費向上に役立つ情報提供を目指している。C-17輸送機の例では、少し速度を落として抵抗を減らすだけで大きな燃費向上が期待できることや、搭載用機材の重量低減の効果が明らかになっている。
代替燃料については、そのコスト低下を見守っている状態。空軍が先頭に立って同燃料について関わってはいない。2020年までに燃料の半分を代替燃料でまかないたいと希望しているが、企業側の対応を見守っている。
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Pentagon.jpgシェールオイルの採掘技術確立で、世界のエネルギー事情も大きく様変わりしています
ちょっと前までは「代替燃料」に関し、穀物を原料にしたアルコールやエタノールの活用で大騒ぎでしたが、今やほとんど話を聞かなくなりました
今日ご紹介したのは、空軍輸送機の燃費向上と海軍艦艇の推進システムの将来方向で、共にキーワードは「効率性改善」です
予算の強制削減が、研究分野の重点にも変化を与えているようです。少なくともメディアの注目先は変化を・・・。

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